302日目:報酬の金額。

 神聖歴六一〇三年・木目牛このめうしの月第九日・天気:曇


 昨日は疲れていたので王都へは戻らずベースキャンプに一泊しました。

 はぁ……けど、あのことを思い出すとまだ少しだけ悲しいです……。

 だって本当に楽しみだったんですよ? ワイバーンのお肉……それなのに……。

 

 でも、仕方がないですね……私達の力不足が原因なんですから……。

 ……決めました! 次は毒なんかに頼らずにきっと自力で倒してみせます!

 その為にももっと強くならないと……よし! 元気を出して王都へ帰りますよ!


 そうしてお昼少し前、無事に王都へ帰還しました。

 ふふっ、当り前ですけどこの瞬間が一番安心しますね。

 またちゃんと皆で生きて戻ってこれたんだなぁ~って……。

 

 けど、この気持ちも冒険者をしているからこそ感じるモノなんですよね。

 いつ死ぬかも分からない冒険者……だからこそ毎日を精一杯生きないと。

 ……物語の中の何でもできる冒険者達と私達は違うんですから。

 ハッ! 安心したせいか妙なことを考えてしまいました……恥かしいです。

 さて、冒険者ギルドへ依頼の報告に向かいましょう。


 ギルドに着いたら、眼帯お姉さんがいるいつもの受付へ。

 でも、本当に常にいますねこの人……一応ギルドマスターのはずなのに。

 いえ……深く疑問に思ってはダメですね。また意地悪をされてしまいます。


 というわけで挨拶もそこそこに早速、素材の鑑定と換金をお願いします。

 ふふっ、ワイバーンの素材……どれぐらいの値段が付くでしょうか?

 ワイバーン素材を使用した道具類は凄く高価なので期待してしまいます。

 予想より高かったら、今夜ぐらいは贅沢をしてもいいですよね?

 楽しみにしていたお肉も食べられませんでしたし、それぐらいは……。


 なんて考えていたのに、提示された価格は予想を裏切る低価格!

 え!? なんでですか!? ワイバーンの素材ですよ!?

 思わず声を上げると、お姉さんは溜め息をつき呆れた様子で説明してくれます。


 換金額が低い理由……それは、ワイバーン狩りで使った例の毒が原因でした。

 なんとあの毒、牙や爪、骨や鱗などの素材にまで浸透していたんです。

 その為、毒抜きなどの加工が必要な分だけ価格が減額されるとか……。

 はぁ……ニコさん、どれだけ強力な毒を生成したんですか……。

 けど、売却できるだけマシですね……悲しいですけど、それでお願いします。


 結局、あんなに苦労したのに思ったより儲かりませんでした。

 火蜥蜴の外套を失いながらも頑張ったのに……最悪です。

 まぁ、普段通りの依頼を受けるよりはいいお金になりましたけど……。


 でも、今回の報酬で例のダンジョン探索に必要な道具を揃える予定だったのに。

 ……足りますかね? 装備の新調とかも考えていたので心配です。

 とりあえず明日は武具屋さんに行って見積りを頼んでみないと……。

 さて、今日はもう宿でゆっくりします……ふかふかベッドで寝るのです!


 今日の収支

 銀貨:-7枚(宿泊費×6+ソシオ)(食事◎、寝床◎)

 金貨:+1枚(ワイバーン討伐報酬×1)

     +3枚(ワイバーン素材売却)

 ――――――――

 残金:金貨4枚、銀貨30枚、銅貨64枚


 (ノ_-;)ハア…色々上手くいきませんね……。

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