301日目:ワイバーンとの再戦。

 神聖歴六一〇三年・木目牛このめうしの月第八日・天気:曇


 ……夜が明けました。ニコさんは無事に作業を終えたでしょうか?

 生成しているモノがモノだけに不安で眠らずに待っていたんですけど……。

 テントから一晩中出てこないんですよ、彼女……まさか倒れてませんよね?

 

 そんな心配をしていると、テントからニコさんがひょっこり顔を出します。

 ニコさん! 無事だったんですね! もう! 心配したんですよ!?

 駆け寄って思わず抱きつくと、危ない、危ないです、と慌てるニコさん。


 その焦りように驚いて開放すると、ニコさんは安堵の溜め息を漏らします。

 もう少しで落とすところでした……ってその手に持った小瓶はまさか?

 恐る恐る確認すると、これでワイバーンもイチコロです、と胸を張るニコさん。

 やっぱり毒の小瓶でした! 中の液がどす黒くて怪しいと思ったんです!

 でも、ちゃんと完成したんですね……ニコさん、ありがとうございます。


 というわけで朝食後、ワイバーン狩りに再挑戦するため例の岩場へ。

 これで失敗すると、次はもう打つ手がありません……頑張ります!


 そうしてお昼少し前、無事に目的地へ着きました。

 さて、まずは一旦木陰に隠れて辺りの様子を覗いましょう。

 今日は曇ですからね……上空に十分注意しないと……。

 というのも、ワイバーンは灰色の個体が多いので曇の日は見つけ難いんです。


 それから暫く周囲を警戒しますが……うん、特に問題ありませんね。

 よし、急いで罠を仕掛けますよ! 設置場所は前回襲われたところです。

 あ、今回の餌はここに来る途中で捕まえたフォレストフロッグを使用します。

 なので凄く新鮮です! あとはニコさんの毒を仕込めば罠のできあがり……。

 さて、どうなりますかね? 上手く罠に掛かってくれるといいんですけど……。


 数時間後……やっとワイバーンが罠のある岩陰に降り立ちます。

 くしゅんっ……外套もないのにこの寒さを耐えた甲斐がありましたね。

 あとはワイバーンが罠の蛙肉に食いつくのを待つだけです……。


 ……少しすると周囲に巨大な何かが倒れる音が響き渡ります。

 ワイバーンですかね? ……気になりますが確認はもうちょっと待ちましょう。

 まだ毒が回り切っていないかもしれません……安全第一です。


 そして、待ち続けること約一時間。

 その間、岩場からワイバーンの動く気配は全くありませんでした。

 ……これは流石に大丈夫でしょう。よし、皆で確認に行きますよ!


 罠を仕掛けた岩場を覗くと……いました! ワイバーンが倒れています。

 白目をむき、口から血を流している辺りこれは完全に死んでますよね……。

 やった! やりました! ニコさんのお陰で大成功です!

 さぁ! 他のワイバーンが来る前に急いで素材を回収して撤収です!


 と、ここまでは良かったのに……このあと悲劇が私を襲います。

 密かに楽しみにしていたワイバーンのお肉が食べられなかったんです!

 ニコさん曰く、肉にも毒が回っているので食べられませんよ、と……。

 ぐすんっ……悲しいです。やっぱり毒なんかに頼ってはいけないのです。


 今日の収支

 (ワイバーンの各種素材)

 ――――――――

 残金:銀貨37枚、銅貨64枚


 o(T^T)o 最高級のお肉が……お肉がぁ……。

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