300日目:その罠の仕掛けは……。

 神聖歴六一〇三年・木目牛このめうしの月第七日・天気:晴


 うぅ……昨日は大変な目に遭いました。……やっぱりワイバーンは手強いです。

 ……一体誰ですか? ワイバーンを空飛ぶ蜥蜴とか馬鹿にして油断したのは。

 はぁ……このままだと火蜥蜴の外套の焼失に加え依頼も失敗して大赤字です。

 う~ん……困りました……ワイバーンを狩る何か良い方法を考えないと……。


 というわけで、今朝は皆で作戦会議を行っています。

 対策を立てずに挑んだら、昨日の二の舞ですからね……。

 しかし、なかなかいい案が思い付きません……。

 

 そうそう、ベースキャンプの冒険者さん達にも一応相談してみました。

 すると、やはり罠を仕掛けて狩るのが一番安全で効率が良いそうです。

 でも、手持ちの道具ではワイバーンを捕まえるほど頑丈な罠は作れません。

 どんなに頑張っても昨日のように餌で誘き寄せる程度の罠が限界です……。


 そうして悩み続けていると、ドクを……使いましょう、と呟くニコさん。

 ど、く? ……って毒!? 唐突に何を言いだすんですか貴女は!?

 あまりに不穏な単語に驚くと、ノアさんから落ち着くように注意されます。

 そ、そうですね……まずは冷静にニコさんの話を聞かないと……。


 数分後、ニコさんの説明が終わりました。

 話をまとめると、誘き寄せる餌に毒を仕込んでワイバーン狩る作戦です。

 因みに毒の生成は手持ちの機材と足りない素材を採取すれば可能だとか。

 はぁ……恐ろしいことを考え付きますねニコさん……まさか毒だなんて。

 けれど現状作れる最強の罠には違いありません……どうしましょう?


 それから暫く考えた末、この毒罠作戦を試してみることに決めました。

 まだ少し不安ですが、今はこれ以外に方法がないので仕方ありません。

 ……さて、そうと決まれば必要な素材を急いで採取しに行きましょう。


 夕方。どうにかニコさんに指示された薬草や茸を全て集め終わりました。

 その間、ニコさんはノアさんとテントで各種機材を準備中だったんですが……。

 テント内の様子を見て言葉を失います……中がいつの間にか立派な研究室に!

 凄いですね……というか、ノアさんどれだけの機材を預かっているんですか?

 

 そんな疑問を抱きつつ、ニコさんに各種素材を渡します。

 けど、これほどの設備にあんな薬草や茸……正直どんな毒ができるか心配です。

 だって、採取した素材の中には素手で触れない危険なモノもあったんですよ?

 それらを全て合わせるなんて……本当に大丈夫なんでしょうか?

 実は生成するニコさん自身も危ないんじゃ……無理していませんかね?

 ……ニコさんはこういう時、頑張り過ぎる癖があるので凄く不安です。


 その後、夕食が終わり、深夜になってもニコさんの作業は続いています。

 恐らく徹夜して完成させる気なんでしょう……本当、頑張り過ぎです……。

 そして、そんな彼女を放っておけないので、私も今夜は徹夜の作業です。

 と言っても、各種装備を点検するだけですけどね……。

 

 明日は絶対にワイバーンを仕留めてみせますよ。頑張ります!

 

 今日の収支

 特になし

 ――――――――

 残金:銀貨37枚、銅貨64枚

 

 (-人-)なにごともなく上手くいきますように……。

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