294日目:鍵の鑑定結果。

 神聖歴六一〇三年・木目牛このめうしの月第一日・天気:晴


 ふぁ~……少し寝坊したみたいです。やっぱり徹夜のお仕事は疲れますね。

 けれど、寝過ぎた一番の原因は今回泊まった高級宿のふかふかベッドです!

 当然ですが安宿の硬いベッドとは比べ物にならない素敵な寝心地でした。

 あぁ……思い出すとまた眠たく……結論、安宿にはもう絶対泊まりません!


 でも、毎晩最低でも銀貨六枚とか……この金額をどう稼ぐかが問題です。

 う~ん……これからは討伐系の依頼を中心に受注するべきでしょうか?

 そうすれば確かに報酬は上がります……けど、危険度も増すんですよね。

 はぁ……高額報酬か安全な依頼か……難しい選択です……困りました。


 そんなことを悩みつつ今日も冒険者ギルドへ。

 黙っていても日々の暮らしでお金は減りますからね。

 ……少しでも稼いで生活費の足しにしないと。

 うぅ……なんか急に貧乏になった気がします。

 

 ギルドに着いたら、急いでクエストボードの前へ向かいます。

 それから新規の依頼を物色しますが……良いお仕事がありません。

 むぅ……寝坊したのが失敗でしたね……。

 この時間だと目ぼしい新規の依頼はもうほとんどなくなっています。

 はぁ……また今日もあまり儲からない薬草採取ですかね……。


 そう肩を落としていると、受付の眼帯お姉さんに呼ばれました。

 ……今度はなんですか? あ! もしかして鍵の鑑定結果でしょうか?

 だとしたら嬉しいですね。期待はしていませんが詳細はやっぱり気になります。

 

 なんて考えながら受付に行くと、話は予想通り鍵の鑑定結果についてでした。

 報告によると、あの銀の鍵は王都の北にあるダンジョンに関系があるそうです。

 ただ、装飾などからそこまでは判明したものの、なんの鍵かは分からないとか。

 う~ん、王都の北のダンジョン……行きたいような、行きたくないような……。


 考え込んでいると、それでこの鍵どうする? と眼帯お姉さん。

 えっと、どうするとは? 鑑定が終わったら返却されるはずじゃ……?

 妙な質問に困惑していると、今度は鍵の材質について教えてくれます。

 

 それはなんと……ミスリル銀でした!


 ミスリル銀といえば採掘量の少ない希少金属です。

 以前、依頼を受注しましたが採掘できなかった記憶があります。

 まぁ、あの時は運良く別の手段で手に入りましたけど……。

 で、ギルドの鑑定だとこの鍵サイズでも金貨七枚にはなるとか。


 話を終えるとニヤニヤと笑い、換金するかい? と尋ねてくる眼帯お姉さん。

 ……金貨七枚……凄く凄く魅力的な金額です。う~ん……って、いやいや!

 王都の北にあるダンジョンを調べてから換金しても遅くはありませんよね!?

 なんで今すぐ換金の話になっているんです!? 危うく騙されるところでした。


 その後、とりあえず鍵を返却してもらい薬草採取の依頼を受注します……。

 はぁ……今日もきっと微妙に赤字です……。

 これはダンジョン調査へ行ってみるべきですかね? ……悩ましいです。

 

 今日の収支

 銀貨:-6枚(宿泊費×5+ソシオ)(食事◎、寝床◎)

     +3枚(依頼報酬 報酬増額中)

 ――――――――

 残金:銀貨48枚、銅貨64枚


 (-_-)ウーム 行くべきか否か……それが問題です。

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