292日目:時計塔の調査依頼。
神聖歴六一〇三年・
むぅ……久々に安宿に泊まりましたけど、やっぱり色々ダメです。
量が多いだけの大味な食事に硬いベッド、夜に何かが駆け回る天井裏……。
これなら野宿のほうがノアさんの美味しい食事を食べられる分まだマシです。
……節約しながら良い宿屋に泊る方法が何かありませんかね? 困りました。
そんなことを悩みつつ、今日も冒険者ギルドへ向かいます。
とりあえず働いてお金を稼がないといけませんからね……。
……明日は月末で税金などの支払いがありますし。
はぁ……物語の冒険者達みたいに宝物を沢山見つけたいです。
ギルドで鑑定中の例の鍵が本当に財宝の手掛かりならどんなにいいか……。
……なんて冒険者なら誰もが描く夢ですけど……多分ただの鍵ですよね。
人生は甘くないのです……なので現実を見てコツコツ依頼を頑張ります。
というわけで、ギルドに着いたら真面目にクエストボードの前へ。
……う~ん、昨日の今日だとそんなに依頼が更新されていませんね。
でも、何か受注しないと……今夜も安宿に泊まるのは嫌です。
そうして依頼を探し続けていると……見つけました! 良い感じの依頼!
内容は東区の中心にある時計塔の内部調査です。
依頼書によると最近、原因不明の故障に悩まされているんだとか。
なので、その故障原因を発見し、可能であれば改善してほしいと。
ふふっ、時計塔の内部とか滅多に見られないので面白そうです。
報酬も仕事内容の割には高額ですし、受注するしかありません。
問題は故障箇所の修理ですが、ニコさんがいるので多分大丈夫でしょう。
道具がないのに馬車を直せるんですから、時計塔の修理もきっとできます!
ですよね、ニコさん! ニコさん? なんで微妙に視線を逸らすんですか!?
……少し心配ですが他に目ぼしい依頼もないので受注決定です。
受付に受注申請を出したら、急いで時計塔へ向かいます。
ギルドから中心部の時計塔までは割りと距離があるので早くいかないと……。
できれば今日中に終わらせて、夜はゆっくりしたいですからね。
数時間後、ようやく目的の時計塔に到着しました。
岩煉瓦を積み重ねて建てられた見上げるほど巨大な時計塔。
真下からだと文字盤がほとんど見えません……大き過ぎです。
と、時計塔の意外な巨大さに圧倒されつつ、いそいそと内部へ。
って、昼間なのに中が物凄く暗いです! これは明りがいりますね。
あとは予想以上に騒音が酷いです。少し離れるとまともに会話もできません。
その後、ランプに火を灯し改めて内部を確認してみると……。
凄いですね、これ……内部機構の複雑さは圧巻の一言に尽きます。
なにがどうなって動いてるんでしょう? さっぱり分かりません。
けど、ニコさんはそれを見てなんだかやる気になったみたいです。
今も見たこともない様々な道具を笑顔で準備しています……。
はぁ……でも、これは今日中に終わりそうにありませんね。
……徹夜とか想定外ですが報酬のために頑張ります!
今日の収支
特になし
――――――――
残金:金貨1枚、銀貨9枚、銅貨64枚
(ノ_-;)ハア 意外と大変な依頼みたいです……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます