285日目:雪降る王都。

 神聖歴六一〇三年・初春鼠はつはるねずみの月第二三日・天気:雪


 うわぁ……最近やけに寒いと思っていたら、今朝は雪が降っています。

 しかも、薄らと積もっていて外はいつの間にか銀世界です……。

 これは……嫌な予感がしますね。ちびっ子たちは大丈夫でしょうか?


 ……不安的中です。この寒さで子供たちがまた熱を出しています。

 はぁ……早く暖かい毛布を買っておくべきでした……大失敗です。

 お薬を飲ませたら、急いで新しい毛布を買いに行かないと……。

 

 お薬は以前同様、キングナメークを素材にした例の解熱剤です。

 私は二度と飲みたくありませんが、本当によく効きますからね。

 あの時、薬屋のお爺さんから多めに貰っておいて正解でした。


 子供たちに薬を飲ませ終えたら、ノアさんと二人で街の寝具店へ。

 教会のお仕事はルルちゃんとニコさんに任せてきました。

 この雪では誰も来ないと思いますが、閉めるわけにもいきませんからね。

 ちびっ子たちの看病はサールさんとサマラさんが行っています。

 あの二人なら安心ですが、早く帰って手伝わないと……。


 そんなことを考えていたら、目当ての寝具店に到着しました。

 数日前の買い物の時に見つけた、小さいながらも感じの良いお店です。

 お店に入ると、優しそうなお姉さんに声をかけられました。

 挨拶を返すと、どうやらこのお店の店主さんみたいです。

 そのお姉さんに相談しつつ、暖かそうな毛布を選びます。


 う~ん、どれも良い物ですが、あまり可愛くありません。

 ちびっ子たちの毛布ですからね。可愛さは重要です。

 決して私の趣味ではありませんよ? 本当ですからね?


 そうして迷い続けること約一時間。

 最終的に猫の模様が入った黄色い毛布に決めました。

 ちびっ子たちはミアさんやブランさんのことがは大好きでしたからね。

 この柄ならきっと気に入ってくれるはずです。とても暖かいですし。

 さて、それではこの毛布を買って教会に帰りましょう。

 お姉さん、お会計を! って少し高くないですか? え、普通? 本当に?


 むぅ……なんか予想以上に高い買い物でした。

 まぁ、子供たちへの贈り物だと思って諦めましょう。

 教会のほうではまだ資金が少なくて毛布とか揃えられませんからね。


 なんてことを考えながら歩いていると、突然声をかけられます。

 足を止めるとそこは以前お世話になった薬屋さんの前でした。

 店のほうへ顔を向けると、店主のお爺さんが慌てた様子で駆け寄ってきます。

 そして、またナメークをお願いできんかね? 薬がないんじゃ、とお爺さん。

 ……えっと、今日は無理です。それにこの天気では狩れるか分かりません。


 そう断りますがお爺さんは諦めません。

 ……相場の二倍で買い取るって本気ですか?

 も、もう、仕方ありませんね。引き受けましょう。人助けは大切です。

 というわけでノアさん、諦めてください。泣いてもダメです。

 

 さぁ、雪の舞う中のキングナメーク狩りです!


 今日の収支

 銀貨:+12枚(キングナメーク売却費×10)

 金貨:-1枚 銀貨-50枚(毛布代×30。予備含む)

 ――――――――

 残金:金貨1枚、銀貨6枚、銅貨26枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 (・・;) 少し残金が危ないかもです……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る