279日目:教会へ戻ると……?
神聖歴六一〇三年・
う~ん、気持ちのいい朝です。やっぱり高級宿のふかふかベッドは最高ですね。
野宿の簡易寝具や教会の薄くて安い毛布とは心地よさが天と地ほども違います。
あぁ、もう少し……もう少しだけこのベッドで寝ていたいです。幸せです。
しかし二度寝をした直後、部屋を訪れたノアさんに叩き起こされました。
早く教会に帰るよって……うぅ、今日ぐらいゆっくり寝ていたかったのに。
さよなら幸せな夢の時間……私はこれからまた厳しい現実と戦ってきます。
でも、その前に美味しい朝食を食べて日々を乗り切る英気を養いましょう。
ここの料理、パンと野菜のスープが最高なんですよ!
ふかふかモチモチの小麦の香り漂う焼き立てパン。
色んな野菜の旨味が溶け込み凝縮された、優しい味のスープ。
ちびっ子に邪魔まされない朝食だけでも素敵なのに……今から楽しみです!
ふふっ、今度はいつ食べられるか分かりませんし心ゆくまで堪能しましょう。
と思って何度もお代わりしていたら、ノアさんに叱られました……。
むぅ……私は悪くありません。美味し過ぎるご飯がいけないんです!
けど、こんなに美味しいとサールさんや子供たちにもご馳走したいですね。
そんなこんなで朝食を終え、いよいよ教会へ。
でも……なんだか急に不安になってきました。教会、大丈夫ですよね?
……なんで昨日の内に教会へ戻らなかったんでしょう、私。
高級宿を満喫している場合じゃなかったのに……私はダメな子です。
もし、これで酷い状況に陥っていたらと思うと……うぅ、お腹が痛いです。
そうして教会へ戻ってみると……あ、門は開いています。
ということは、今日も順調にいっているんでしょうか?
開放された門に少し安心しつつ、急いで教会堂へ。
すると近付くにつれ、子供たちの笑い声が聞こえてきます。
その声に釣られ教会堂の扉を開けると、中には笑顔で働く子供たちの姿が!
……凄いです。冒険者相手に聖水や傷薬の説明までやっていますよ。
予想外の光景に驚いていると、私達の姿を見つけて歓声を上げる子供たち。
気が付けば瞬く間に周囲を囲まれて、身動きができなくなってしまいます。
えっと、これはどういう状況ですか? 誰か、誰か、説明してください!
その後、様子を見にきたサールさんに助け出され、一旦応接室へ。
少し休憩してから、サールさんにここ数日の状況を教えてもらいます。
……うん、話を聞いていると概ね順調だったみたいです。
そして、それも全てちびっ子達が頑張ってくれたお陰だと分かります。
なんでも私達が出立した次の日から、積極的に働き始めたんだとか。
冒険者さんが留守の間は自分達が教会を守るんだって……。
その時のことを思い出したのか、思わず涙ぐむサールさん。
いつの間にか、子供たちも成長していたのですねって……本当ですねぇ。
……これなら私達が教会を去る日もそう遠くないかもしれません。
なんだか嬉しいような悲しいような、複雑な気分です。
今日の収支
特になし。
――――――――
残金:金貨2枚、銀貨65枚、銅貨26枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
('-')もうすぐお別れ……ですかね?
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