278日目:帰還とギルドへの報告。

 神聖歴六一〇三年・初春鼠はつはるねずみの月第一六日・天気:晴


 ふぁ~……よく寝ました。お陰でここ数日の疲れが少し取れた気がします。

 あ、ダンジョンは昨日の内にどうにか脱出できましたよ! 安心してください!

 途中、昆虫系の魔物と何度か戦闘になりましたが頑張って切り抜けました!

 その後、外に出るともう夜だったので、そのまま野宿をして現在に至ります。


 朝の内に森を出発し、王都へ戻ったのはお昼過ぎ。

 ……この数日で教会のほうはどうなっているでしょう?

 気になりますが、まずは冒険者ギルドへ行かないと……。

 色々報告することや素材の換金なんかもありますからね。


 というわけで、冒険者ギルドへ。

 着いたら、そのまま受付に向かいます。

 受付には今日も退屈そうな眼帯お姉さんの姿が。

 この人、ギルドマスターなのにどうしていつも受付にいるんでしょう?

 そんなに暇なんですかね? ギルドマスターって。


 なんて失礼なことを考えていたせいか、ギロリと睨まれてします。

 と、とりあえず素材の換金をお願いしてもいいですか?

 お姉さんの眼光に身を竦ませつつ、受付カウンターに素材を並べます。

 しかし、昆虫系の魔物の素材を出した瞬間、並べるのを止められました。

 この素材どこで集めてきた? って……何か問題でもありましたかね?


 困惑しつつ探索したダンジョンを伝えると、目を見開くお姉さん。

 そして今度は、ダンジョンで何か起こらなかったか尋ねられます。

 う~ん……あ、ジャック・フロストがいましたね……討伐しましたけど。

 そう言うと、お姉さんはその場で頭を抱えてしまいました。

 

 その後、お姉さんから話を聞くと意外な事実が発覚します。

 実はあのジャック・フロスト、以前諦めた依頼の依頼対象だったんです!

 なんでも例の依頼を受けた他のパーティが討伐に失敗したんだとか。

 それで傷を負ったジャック・フロストはダンジョンへ逃げ込んだそうです。

 

 けれど、今度はそのせいで通常の依頼を出せない状況に陥ったと……。

 あぁ、ダンジョンに本来棲息しない魔物の討伐は特殊扱いになりますからね。

 危険度も上がるので、自ら進んで受注する冒険者はほとんどいません。

 なので指名依頼へと変更手続きをしたのに、私達が討伐してきてしまったと。


 話を終えると、また余計な書類仕事が増えた、と肩を落とす眼帯お姉さん。

 ……えっと、落ち込まないで頑張ってください!

 しかし、そう笑顔で励ますと再び思いっきり睨まれました……酷い!


 そして、さらに酷いことにジャック・フロストの依頼料は貰えませんでした。

 依頼を受注してないからって! はぁ……そこは融通をきかせましょう?

 あと、なぜかジャック・フロストの素材は溶けて消えているし……色々最悪です。

 むぅ……気晴らしに今夜は高級宿に泊まるのです! 教会とか明日です、明日!

 

 今日の収支

 銀貨:+69枚(マナ結晶(小)×115換金)

     +35枚(昆虫系魔物素材:換金)

     -70枚(宿泊費×6+ソシオ)(ベッド☆、食事☆)

 金貨:+1枚(マナ結晶(大)×1換金)

 ――――――――

 残金:金貨2枚、銀貨65枚、銅貨26枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 o(T^T)o あんなに頑張ったのにあんまりです!

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