277日目:寒さの原因……。
神聖歴六一〇三年・
アレニエ岩窟ダンジョンの探索を開始して今日で三日目。
依然としてダンジョン内は凍えるような寒さが続いています。
加えて前日の予想外な戦闘……そろそろ体力の限界です。
というわけで、まだ第一階層も半ばですが撤退することになりました。
この異変の原因を突き止められないのは悔しいですが無理は禁物です。
引き際を見誤るとパーティが全滅する可能性もありますからね。
さて、まだ元気な内に急いでダンジョンから脱出しましょう!
そう張り切ったものの……やっぱり寒いです。
うぅ……なんでこんな時に限ってニコさんはお薬を準備してないんですか?
暑さを和らげるお薬があるなら、その逆で寒さ対策のお薬もあるはずなのに。
……愚痴ってもしょうがないですね。こんなに寒いとか想定外ですし。
それとサマラさんも寒さ対策の術は未修得でした。
本来この系統の補助魔術などは神官が得意なはずなんですけどね……。
まぁ、でも彼女の戦闘方法を思い出すとある意味、納得はできます。
前線で暴れるような神官が世間一般の神官と同じはずがありませんよね!
はぁ……神官なのに冒険者になるのはやっぱり変わり者が多いみたいです。
そんなことを考えて進んでいると、ちょっと異様な空洞に出ました。
洞窟全体が氷で覆われていて、今までと明らかに様子が異なります。
これはなんだかあまり良くない雰囲気がしますね。
むぅ……近道のために進入時と違う経路を進んだのが失敗でしたか。
なんて今更遅い後悔をしていると、空洞の中央にある白い塊が目に入りました。
子供ぐらいの大きさで白くずんぐりとしたそれは……雪……だるま?
……なんでこんな場所に雪だるまが転がっているんでしょう?
しかし、そう疑問に思った瞬間、目の前の雪だるまがニヤリと口元を歪ませます。
動いた!? この雪だるま普通の雪だるまじゃないのです!
けれど気付いた時にはもう既に遅く、雪だるまから無数の氷塊が飛んできます。
氷雪系の攻撃魔術に見た目が雪だるまの魔物……分かりました!
あの雪だるまの正体、それはジャック・フロストです!
きっと、これがいたからダンジョンがこんなに寒くなったんですよ!
なんて考えている間にも次々と飛来する拳ほどの氷塊。
慌ててノアさんとサマラさんが張った防御結界の後ろに隠れ身を守ります。
むぅ……でもなんでここにジャック・フロストがいるんでしょう?
異変の原因は判明しましたが、それだけが分かりません……。
でも、とりあえず今は討伐です!
ふふっ、一ヶ月前は戦力不足もあって諦めましたけど今回は違います!
この六人ならジャック・フロストも恐くなんてないのです!
一時間後……どうにか倒しましたが、もう二度と戦いません!
あと少しで私達が雪だるまになるところでした……。
くしゅん……は、早くダンジョンから脱出して暖まらないと……。
今日の収支
ジャック・フロストの素材
マナ結晶(大)×1
――――――――
残金:金貨1枚、銀貨31枚、銅貨26枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
(未換金素材:各種昆虫系魔物の素材。マナ結晶(小)×115個)
(T△T)あんな雪だるま大嫌いです!
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