276日目:凍えるダンジョン探索。
神聖歴六一〇三年・
くしゅん……昨日からアレニエ岩窟ダンジョンを探索中なんですが……。
……このダンジョン、なんだか様子がおかしい気がします。
というのも、先へ進めば進むほどなぜか気温が低くなっていくんです。
今では火蜥蜴の外套を着ていても突き刺すような寒さを感じます……。
そして、この寒さは私達だけでなくダンジョンの魔物にも影響を与えています。
このアレニエ岩窟ダンジョンに出現するのは昆虫系の魔物達が中心です。
それなのにこの低温……彼らは満足に動けず通路の隅で縮こまっています。
お陰で普段より随分楽に狩れているんですが……少しだけ可哀想な気も。
なんてことを考えながら本日六度目の戦闘を終え、一旦休憩することに。
場所は第一階層の中央にある大空洞です。ここなら広くてゆっくり休めます。
はぁ……でも本当に寒いですね。どうしてこんなに寒いんでしょう?
……恐らくダンジョンに何か異変が起きていて、その影響だと思うですけど。
そうやって一人悩んでいると突然、フワッと暖かい空気が流れてきました。
驚いて振り向くと、いつの間にかミアさんが火を焚いています。
焚火のそばに座り、暖かいにゃ~幸せにゃ~、と目を細めるミアさん。
……うん、こうしてみると猫人というよりただの猫ですね、彼女。
でも、本当に暖かそうですね……私も少し当たらせてもらいましょう。
そうして暫く全員で暖を取っていると、通路から奇妙な音が聞こえてきます。
ガサガサ……ワサワサ……まるで虫の大群が移動しているような、そんな音。
……なんだか嫌な予感がしますね。とりあえずここから移動したほうが……。
しかし、そう思った瞬間、この大空洞へ続く二つの通路から大量の魔物が!
さ、最悪です……あの不快な音は昆虫系の魔物達の足音だったんです!
で、でも、なんで急にここへ押し寄せてきたんですか!? 一体なにが!?
混乱する頭で周囲を見渡していると、足元のそれに気が付きます。
分かりました。きっと魔物達はこの焚火の熱気に誘われて集まってきたんです!
そうと分かったら急いで火を消して撃退しますよ!
ミアさんとルルちゃんは私と最前線で魔物の迎撃です!
ノアさんとサマラさんは、その後ろで魔術と神術を使って援護を!
ニコさんは……一番後ろで自分の身を守っていてください! 戦闘開始です!
……数時間後、どうにか全ての魔物を討伐し終えました。
はぁ……まさか焚火をしただけであんなに魔物が押し寄せるなんて……。
ダンジョン進入時、松明を使っていれば気付けていたのかもしれませんけど……。
洞窟に棲む泥蛍のお陰でダンジョン内が明るくて使わなかったんですよね。
はぁ……大失敗です。でも、どうにか切り抜けられて助かりました。
……さて、このあとはどうしましょうか?
ダンジョンの異変を突き止めるか、このまま引き上げるか……難しい問題です。
今日の収支
各種昆虫系魔物の素材。
マナ結晶(小)×115個
――――――――
残金:金貨1枚、銀貨31枚、銅貨26枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
(-_-;ウーン 進むべきか退くべきか、それが問題です。
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