先輩冒険者さんが助けてくれるのできっと大丈夫なのです！ 新米冒険者の日記帳

275日目：アレニエ岩窟ダンジョン！

　神聖歴六一〇三年・初春鼠（はつはるねずみ）の月第一三日・天気：晴

　ふぁ……朝、目を覚ますと横にはノアさんの寝顔がありました。

　珍しいですね、私が起きる時間までノアさんが眠っているなんて。

　あれ？　じゃあ、テントの外で朝食の準備をしているのは誰なんでしょう？

　欠伸をしながら外の様子を確認すると、そこにいたのはサマラさんでした。

　朝食はいつもノアさんが作ってくれたので少し不思議な感じがします……。

　でも、これも仲間が増えたからこその光景なんですよね。なんだか嬉しいです。

　そんないつもと違う朝食を終えたら、予定通りダンジョンへ向けて出発します。

　この時間から進めば、順調に行くとお昼頃には目的地に到着するはずです。

　あ、そろそろ教会も開く時間ですが、サールさん上手くやっていますかね？

　う～ん、心配ですが今はこっちに集中です。森は何がいるか分かりませんから。

　数時間後、どうにか森の奥にある岩場の洞窟前に辿り着きました。

　この洞窟が今回探索する予定のダンジョンの入口になります。

　はぁ、ここに来るまで大変でした。途中でゴブリンの群れに遭遇したりして……。

　なんとか全員無傷で切り抜けましたが、やはり森の中は油断すると危険ですね。

　けど、ゴブリンと遭遇した時のサマラさんには驚きました。

　以前の印象から神術を使った後方支援が得意だと思っていたのに……。

　彼女、まさかの近接職でした。スタイル的には格闘家が近いでしょうか？

　その拳や脚でゴブリンを殴り、蹴り飛ばす姿はかなり凄かったです。

　曰く、神官だから得物は使えないでしょう？　ってことでしたけど……。

　だから神官って本来は後方支援職ですし！　無手で戦うとか予想外です！

　でも、ダンジョンへ進入する前に彼女の戦い方が分かって助かりました。

　その後、一時間ほどの休憩を終えたら、いよいよダンジョンの内部へ！

　隊列は先頭から私、ミアさん、サマラさん、ルルちゃん、ニコさん、ノアさん。

　あ、今回探索するこの洞窟は、アレニエ岩窟ダンジョンと呼ばれています。

　難易度はそれほど高くありませんが、そこそこ稼げると噂です。

　出現する魔物は主に昆虫系……気持ち悪いのがいないといいですね。

　なんてことを思いつつ進むと、中は外よりだいぶ気温が低いみたいです。

　だって火蜥蜴の外套を着ているのになんだか肌寒さを感じますから……。

　すると、くにゃん、という可愛らしいくしゃみが洞窟内に響きます。

　振り返ると、ミアさんが一人寒そうに体を震わせていました。

　あれ？　ミアさんも火蜥蜴の外套を羽織っているのに……って、もしかして！

　ふとした嫌な予感を信じ、ミアさんの外套の下を調べてみると……。

　な、なんで未だに紅い水着鎧を着ているんですか、貴女は！？

　思わず声を上げると、これしか鎧がないのにゃー、と縮こまるミアさん。

　だからって、この寒い時期にその鎧はあんまりですよ……。

　はぁ……なんだか今回も色々大変そうです。

　とりあえず、ミアさんは鎧の下に服を着てください。服を！

　今日の収支

　特になし

　――――――――

　残金：金貨1枚、銀貨31枚、銅貨26枚

　借金残高：金貨12枚、銀貨86枚

　(ﾉ_-;)ﾊｱ…ミアさん……頭痛いです。