271日目:お薬の味……?

 神聖歴六一〇三年・初春鼠はつはるねずみの月第九日・天気:晴


 うぅ……なんか頭がガンガンします。そして、凄く寒いです。

 あと体も妙に重い感じが……昨日、雨の中で無理をしたのが原因でしょうか?

 はぁ……冒険者なのにあれぐらいのことで体調を崩すとか情けないです……。

 でも、この程度なら多分まだ大丈夫……頑張れます。……頑張れますとも。


 しかし、廊下をふらふら歩いているとサマラさんに捕まってしまいました。

 そうして私の顔色を見ると、慌てて部屋で休むように勧めてきます。

 いえ、心配はいりません。……冒険者ならこれぐらい平気です!

 けれど、そう言うのに私の手を引いて部屋へ歩き始めるサマラさん。

 ……もう、本当に大丈夫なんですよ? サマラさんは心配性ですね。


 部屋へ戻ると大人しくベッドで眠るようサマラさんに言われます。

 教会の仕事は自分達でやっておくから安心して休むようにと。

 ……気持ちは嬉しいですがそんなわけにはいきません。

 子供たちの看病もあって人手が足りないはずです……私も働けます!

 と意気込んでみたものの、なぜか体は傾きそのままベッドへ。

 あ、あれ? おかしいです……段々、眠たくなって、きまし、た……。


 それから目が覚めたのはお昼頃。

 むぅ……まだ頭が少し痛いです。それと体に力が入りません。

 ここまで体力が落ちてるとか……体を鍛え直す時期かもしれませんね。

 思えば治療院を退院してからこっち、まともな冒険は数えるほどでしたし。

 体が衰えるのはある意味仕方がないことかもしれません……。

 まぁ、教会のお仕事があったので遊んでいたわけではないんですけど。


 そんなことを考えていると、ノアさんが様子を見に来てくれました。

 手に持ったお盆の上にはスープなどの軽めの食事が載っています。

 それらを見た途端、小さく鳴り響く私のお腹……。

 恥かしいです。でも、朝から何も食べてないんですよ? お腹も減ります。

 なんて誤魔化しつつ、どうにか体をベッドから起こし食事をパクパク。

 

 数分後、あっという間に食べ終わってしまいました。

 うん、なんだか元気になった気がします!

 これなら午後からはバッチリです!

 と、思ったのにノアさんに止められてしまいます。

 薬を飲んで今日は一日安静にしておくようにと。

 そう言いながらノアさんが取り出したのは、昨日貰ってきたあのお薬です。


 うぁ……そ、そのお薬は嫌です! 大丈夫! 飲まなくても私は元気です!

 慌てて首を横に振りベッドの隅へ逃げますが、すぐに捕まってしまいます。

 いや、待って! だって、それ、素材がナメェェ――。

 しかし、止める間もなく無理やり口の中へ放り込まれる丸薬……ゴクリッ。


 うわぁ……飲んじゃった……飲んじゃったのです! 最悪です!

 素材が何か知っている相手に飲ませるとか拷問ですよ……。

 でも、これで大丈夫、と笑うノアさんの顔を見ると何も言えません……。

 けど、なんだかお腹が痛くなってきました……今日は大人しく寝ましょう。


 ……もう絶対に熱とか出さないのです。絶対です!


 今日の収支

 特になし

 ――――――――

 残金:金貨1枚、銀貨56枚、銅貨83枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 (_ _;)パタリ 今度は別のお薬を買いましょう……。

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