270日目:お薬を探して!

 神聖歴六一〇三年・初春鼠はつはるねずみの月第八日・天気:雨/曇


 くしゅんっ……昨日の夜から降り続く雨のせいで今朝は一段と寒いです。

 子供たちは暖かくして眠ったでしょうか? 風邪とかひいていませんよね?

 この教会にある毛布はどれも安くて薄いので少しだけ心配です……。


 とか思っていたら……この寒さで熱を出した子供たちが既に数人。

 その中にはここ数日、色々とお手伝いをしてくれたちびっ子の姿もあります。

 どうやら今朝の寒さと連日の疲労で一気に体調を崩してしまったみたいです。

 いつもあんなに元気なのに、今日は苦しそうに寝込む子供たち……。

 一刻も早く治療しないと……よし、まずはお薬! お薬を飲ませましょう!


 しかし、教会の常備薬には使えそうなものがありませんでした。

 加えてこういう時に限って、ニコさんも手持ちがないという間の悪さ……。

 もう! いつもお薬、お薬って騒ぐのに肝心な時に使えません!

 って、ニコさんに八つ当たりしている場合ではないですね。

 教会に備えがないなら、急いで薬屋さんへ買いに行かないと……。


 というわけで、私とニコさんの二人で街の薬屋さんへ。

 ノアさんとサールさん、サマラさんは残って子供たちの看病を。

 ルルちゃんとミアさんには教会のお仕事を任せました。

 教会のほうが若干心配ですが、ルルちゃんがいれば多分大丈夫でしょう。

 

 そうして到着した教会から一番近い薬屋さん。

 小さなお店ですが以前覗いた時、品揃えはかなり豊富でした。

 ここなら必要な薬品や素材が購入できるはずです!

 

 けれど、その希望は打ち砕かれます……。

 なぜか解熱関係の薬剤だけ売り切れているんです。

 店主のお爺さんに理由を訊くと、連日の寒さで熱を出す人が多いんだとか。

 そのせいで、ここ数日どのお店も品薄状態が続いているそうです。

 ……ということは、このまま他のお店を回っても無駄ですね。

 仕方ありません、ニコさん! 王都の外へ現地調達しに行きますよ!


 その言葉に目を見開くニコさん……何をそんなに驚いるんですか?

 私達は冒険者ですよ? こういう時に頑張らずにいつ頑張るんです?

 幸い今日の天気は雨。これなら森のどこかにキングナメークがいるはずです。

 ヤツら見た目はアレですけど、とてもよく効く解熱剤の素材なんですよ。

 それに今の時期、他の薬草を探すよりヤツらを狩るほうが簡単です。


 そんな話を店内でしていると、余ったら分けてくれんかね? と店主のお爺さん。

 通常より高く買い取るからって……お爺さん、なかなか抜け目がないですね。

 う~ん……それに加えて調合した薬品を無料で分けてくれるならいいですよ?

 そう提案すると、俯き考え込むお爺さん。

 薬品の調合はニコさんもできますけど、他の素材も必要ですからね。

 高値で買い取ってお薬を無料で分けてくれるならそのほうが得です。

 

 数分後、それでいいとお爺さんは頷いてくれます。

 よし、交渉成立です! 急いで森に行きますよニコさん!

 久々のナメーク狩りなのです!


 今日の収支

 銀貨:+5枚(キングナメーク売却費×5)

 (解熱剤+30個)

 ――――――――

 残金:金貨1枚、銀貨56枚、銅貨83枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 (=v=)ちゃっかり儲かったのです♪

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