266日目:お客さんが……!!
神聖歴六一〇三年・
はぁ……昨日の夜はあまり眠れませんでした……。
作業が夜中まで続いたのもありますけど、今日のことを考えると心配で……。
……本当に上手くいくでしょうか? お客さんは来てくれますかね?
うぅ……色々考えると段々お腹が痛くなってきました……凄く不安です。
そして朝食後、いよいよ教会の門を開放しますが……誰もいませんね。
……うん、ちょっとだけ予想していたので大丈夫です……大丈夫。
ほら、まだ朝も早いですし……もう少し、もう少しだけ待ってみましょう。
今にきっと人が沢山来てくれます……来てくれるんですから! 本当ですよ?
しかし、お昼近くになっても教会を訪れる人影は皆無……。
ただただ時間だけが空しく過ぎ去っていきます……。
……もしかして、誰も来ないんですかね? ……皆であんなに頑張ったのに。
やっぱり経営の基本も知らない私達が教会の再建とか無理だったんでしょうか?
そう若干諦めかけていると、ごめんください、という声が!
慌てて教会の入口へ視線を向けると、そこには一人の女性が佇んでいました。
短くまとめた茶色の髪に金属製の軽鎧、腰には小剣が二振り。
手入れの行き届いた装備から、それなりの冒険者だと一目で分かります。
って、今はそれより急いで対応しないと! お客さん! 初のお客さんです!
そうして接客をしながら色々と会話をしてみます。
彼女、リーナさんは予想通り冒険者でした。ランクはCランク。私と同じです!
この教会を訪れた理由は、近々潜るダンジョンで聖水が沢山必要だからだとか。
けど、聖水って高いからねぇ下手すると赤字だよぉ~、と肩を竦めるリーナさん。
それで損失覚悟で準備をしていた時、ギルドであの張り紙を目にしたそうです。
耳にしない教会だけど値段は半額以下。これなら十分利益が出るだろうと……。
そんな話をしたあと、リーナさんは聖水を三十本も購入してくれました。
いい感じだったらまた買いにくるから~、と笑顔で帰っていくリーナさん。
そうそう猫銀銭は、可愛いし面白い試みだねって、褒めてくれましたよ!
……でも、売っておいて今更ですが、少しだけ心配になってきました。
墓場とかのゴーストには効きましたけど、ダンジョンは大丈夫ですかね?
……いやいや、ここは製造したニコさんを信じましょう。
本来効かないデュラハンにも僅かに効果がありましたし、きっと大丈夫です。
その後、ちらほらとお客さんが来てくれて夕方になると聖水は完売しました。
ただ、焼き菓子は予想以上に売れ残る結果に……美味しいのに不思議です。
……仕方ありませんね……予定通りちびっ子たちのおやつにしましょう。
さて、終わってみれば初日としてはいい感じの滑り出しだったような?
しかし、油断はいけません。明日は閑古鳥が鳴くかもしれませんし。
でも、とりあえず今日は乗り切ったのを喜びましょう!
ふふっ、なにか美味しい食べ物で軽くお祝です!
今日の収支
猫銀銭:-1190枚(教会の金庫へ移動)
――――――――
残金:金貨1枚、銀貨51枚、銅貨83枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
(*'-'*) この調子なら大丈夫かもしれませんね!
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