259日目:皆で知恵を出し合って……。

 神聖歴六一〇二年・黄冬猪おうとういのししの月第二八日・天気:晴


 うぅ……昨日は予想通りノアさんに割と本気で怒られてしまいました。

 凄く恐かったです……ルルちゃんとか涙目でしたからね。私も泣きそうでした。

 今度から無断外出はやめましょう……子供たちが真似してもいけませんしね。

 

 昼食後、一昨日の約束通りブランさんが教会にやって来ました。

 入口で簡単な挨拶を済ませたら応接室へ案内します。

 今回、話し合いに参加するの全員で六人。

 私にノアさん、ニコさん、サマラさん、サールさん、そしてブランさんです。

 ミアさんとルルちゃんには子供たちの相手をお願いしました。

 さて、いよいよボロ教会経営再建会議の始まりです。

 

 まずは作成した資料を基にブランさんへ現在までの詳細な経緯を伝えます。

 指名依頼の受注から、王都支店長のグリさんとのやり取りなども全てです。

 そのあとは現状の課題について。これは主に商品開発に関してですね。

 原価の問題もありますが販売の仕方、生産体制、集客方法などなど……。

 

 数時間後、全ての説明を終えると、現状は分かりました、と頷くブランさん。

 そして、この一ヶ月よく頑張りましたね、と優しく労ってくれます。

 どうやら手紙の内容からもっと酷い状況を想像していたみたいです。

 ……だからわざわざ王都にまで様子を見に来てくれたんですね、ブランさん。


 そうして現状の確認と課題の共有が済んだら、それぞれに案を出し合います。

 しかし、提案されるどれもが決定力に欠けました……。

 う~ん……やっぱりこの教会の経営再建は難しんでしょうか。


 弱気になっていると、全部やればいいじゃないですか、とブランさん。

 全部!? 確かに中には幾つも魅力的な案はありましたけど、全部……。

 驚く私にブランさんは笑顔で頷き、紙に何かを書き始めます。


 数分後、そこには今までの案の良い点をまとめた新たな経営再建の草案が!

 まず、聖水の価格には焼き菓子の損失分を上乗せすることに。

 しかし、それでは収益が減るので、聖水の材料である香草を自家栽培します。

 

 つまり聖水自体の材料費を下げ、その分を焼き菓子に回すんです。

 香草の栽培は教会の庭を利用するので新たな費用はかかりません。

 ついでに、各種野菜も育てれば子供たちの食費も浮かせます。


 あと、集客についてはブランさんに猫銭を使った秘策がありました。

 アレを各商品に一枚ずつ付け、一定数貯まると商品を割り引くんだとか。

 つまりこの教会で聖水などを買えば以後も安く商品を購入できるんです。

 あれ? でも猫銭の意味は? カードに印をつけるとかでも……。

 それに商品に付けた猫銭以外を使われたらどうするんですか?


 そう指摘すると、別の手法で猫銭を集めるならそれは嬉しいことだとか。

 理由はケット・シー族の貴重な外貨獲得手段になりますからって……。

 ……待ちなさい。教会側の利点は? あ! なんで目を逸らすんですか!


 むぅ……この草案、もう少し詳細を詰める必要がありますね……。

 さて、もうひと頑張りです!


 今日の収支

 特になし

 ――――――――

 残金:金貨3枚、銀貨19枚、銅貨57枚

     猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 ('-'*) 少し前進した気がします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る