257日目:年末の訪問者。
神聖歴六一〇二年・
ふぁ~……眠いです。費用の計算を繰り返していたら、いつの間にか朝に……。
あぁ、なんだか頭がふわふわして油断するとそのまま寝ちゃいそうです……。
……ダンジョンだと数日まともに眠れなくても平気なのに……不思議ですね。
よし、とりあえず眠気覚ましに朝食を食べましょう。ちょうどいい時間ですし。
そうして朝食後、部屋へ戻り費用の計算などを再開しますが……ね、眠いです。
うぅ……失敗しました。満腹だと目が覚めるどころか逆に睡魔が襲ってきます。
加えて窓の外から微かに聞える規則的な雨音のせいで余計に眠気が……。
窓から視線を下へ移せば、そこには柔らかなベッド……気持ち良さそうです。
……少しぐらいなら……仮眠程度なら大丈夫でしょうか? 大丈夫ですよね?
なんて睡魔に負けそうになっていると、突然部屋のドアがノックされます。
!? は、はい! 寝てません! 起きてます! まだ起きてますよ!
と、眠りそうになっていたことを誤魔化しながら、慌ててドアへ駆け寄ります。
そして勢いよくドアを開けると、その向こうにいたのはサールさんでした。
目が合うとドアを乱暴に扱ったことを咎めるように見つめ返されてしまいます。
うぅ……動揺していたとはいえ少し不注意でした……素直に謝りましょう。
そのあと用件を尋ねると、私にお客さんが来ていることを教えてくれました。
年末のこの時期に訪ねてくるとか誰でしょうね? もう! 私は凄く忙しいのに。
眠気のせいか思わずそんな失礼なことを思い浮かべながら応接室へ向かいます。
数分後、応接室のドアを開けると、そこには懐かしい人物が待っていました。
蜂蜜色の綺麗な髪にどこか気の強そうな海のように青い眼。
頭の上でぴくぴく動く三角耳とお尻から伸びる可愛い尻尾も同じく蜂蜜色。
……そう、応接室にいたのはマーガの街で別れた猫人のミアさんでした。
突然の再会に驚いていると、約束通り遊びに来たにゃ! と笑顔のミアさん。
あ……そういえば年末は王都に遊びに来るって手紙に書いてありましたっけ。
……ここ最近忙し過ぎてそんなことすっかり忘れていました。
えっと、どうしましょう……歓迎の準備をなにもしていませんよ。
内心で酷く焦っていると、さては忘れてたにゃ? と核心を突いてくるミアさん。
!! 相変わらずたまに鋭いですね、貴女! なんですか、猫人の勘ですか!?
これは謝るしかないですね……はぁ……今日は謝ってばっかりです。
正直に謝ると、苦戦しているようですね、とミアさんの隣から突然声が……え?
驚いて正面に回ると、ミアさんの横に真っ白な猫が行儀よく腰かけていました。
ブ、ブ、ブランさん! わざわざ会いに来てくれたんですか!?
予想外の人物に声を上げ喜ぶと、ブランさんは笑顔で頷いてくれます。
やりました! ブランさんが相談に乗ってくれれば色々上手く行く気がします!
まだ……まだ教会の経営再建は行き詰ってはいないのです!
今日の収支
特になし
――――――――
残金:金貨3枚、銀貨19枚、銅貨57枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
(*'-'*) 強力な助っ人なのです!
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