251日目:墓地の黒い影……。
神聖歴六一〇二年・
うぅ……今日も朝からちびっ子たちに襲撃されました……。
ドアに鍵は掛けてるのに、気が付くと部屋の中に侵入しています。
……私が知らないだけでどこかに隠し扉でもあるんですかね?
そんなことを考えつつ朝食を終え、本日のお仕事を開始します。
今日はニコさんが開発している聖水の最終試験を行う予定です。
この試験結果にニコさんが満足してくれればようやく聖水が完成します。
ふふっ、そうすればゴースト達から睨まれる生活ともさよならです。
というわけで、聖水の試作品を持っていつもの墓地へ。
聖水が入れられた小瓶の数は二十本ほど。これならお昼頃には終わりそうです。
あれ? 一瞬だけ今日は楽だなぁ~とか思った私はだいぶ毒されているような?
完成間際でこの本数を試すって冷静に考えると少しおかしい気がしてきました。
……ニコさん、本当に今回で最後なんですよね? 信じていいんですよね?
そうして若干の不安を抱いていると、いつの間にか墓地に到着しました。
はぁ……今更愚痴を言っても仕方ありませんね。真面目に働きましょう。
溜め息をつきながら右目の眼帯を外し、周囲を見渡してゴースト達を探します。
……ここ数日の試験でかなり数が減ってしまって見つけるのも一苦労なんですよ。
数分後、あ……いました、いました。
墓地の隅。まだ陽が射していない薄暗い木陰に黒い影が!
でも、なんでしょう、あの影……見つめると右目が妙に疼きます。
……これは手を出したら不味い相手のような気がしますね。
ちょっとニコさんに相談しましょう……最悪の場合、今日は中止です。
けれど話し合いの結果、聖水の試験は続行することに……。
というか、黒い影の話をしたらニコさんが俄然やる気を出してしまいました。
そんな手強そうな相手を浄化できればどんな聖水に負けません! ってニコさん。
直接対峙して聖水を投げつける私の身にもなってください……。
……実際この役目って物凄く恐いんですからね!?
……とか文句を呟きつつも聖水の投擲を開始します。だって、お仕事ですし。
しかし、聖水を投げ続けても黒い影は一向に消える気配がありません。
あ、あれ? おかしいですね。浄化されるどころかあの影、濃くなってませんか?
流石に心配になっていると、突然ニコさんが小さな悲鳴を上げます。
なんですか急に? え? 首なし騎士? ニコさんなにを言って……。
その怯えように驚き影へ背を向けた瞬間、凄まじい悪寒が全身を走り抜けます。
あ、これは振り返ったらダメなやつです……このまま逃げないと……。
ニコさん、合図したら走ってくださいね? 全力ですよ? せーのっ今!
掛け声とともに残った聖水を一気に後方へ放り投げ、走り出します。
小瓶が割れる音がすると、一瞬だけ薄れる背後からの圧力……。
もう! 一体なんなんですか!?
そう心の中で叫びつつ、私はニコさんの手を引きどうにか教会へ逃げ帰りました。
今日の収支
銅貨:-25枚(食料品など)
――――――――
残金:金貨3枚、銀貨29枚、銅貨63枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
。。゙(ノ><)ノ ヒィ なんですかアレ!? なんですか!?
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