250日目:教会生活は朝も大変です。

 神聖歴六一〇二年・黄冬猪おうとういのししの月第一九日・天気:晴


 うぅ~ん……お、重い……重いです。あとなんだか周りが少し騒がしいような?

 朝、寝苦しさと騒音で堪らず目を開けると、寝惚け眼に映る子供たちの笑う姿。

 そうでした。昨日からサールさんの教会で暮らすことになったんでしたっけ……。

 

 というか、なんでちびっ子たちが私の部屋にいるんですか!? ドアの鍵は!?

 ふわふわと寝惚けた状態から一気に覚醒し、慌ててベッドから起き上がります。

 すると、私が起きるのを待っていたかのように笑顔で駆け寄ってくる子供たち。

 !? 痛い、痛いです、叩かないで! あぁ! 鎧や剣に触っちゃダメですよ!


 うぅ……朝から酷い目に会いました……最悪の目覚めです。

 そんなことを考えながら、割とボロボロの状態で子供たちに手を引かれ食堂へ。

 到着し中に入ると、ぐったりとテーブルに突っ伏すルルちゃんの姿が……。

 ルルちゃんも同じようにちびっ子たちから襲撃されたみたいですね。


 ルルちゃんの隣に座りつつ周囲を見回すと、厨房に複数の人影を見つけました。

 ノアさんとサマラさん、あとサールさんが朝食の準備をしているようです。

 あれ? ニコさんがいませんね……あ、さっきの子供たちの姿も見えません。

 まさか彼ら、ニコさんを起こしに行ったんじゃ? ……嫌な予感がします。


 不安に思っていると数分後、教会に子供たちの悲鳴が響き渡りました。

 ……やっぱりです。ほら、ルルちゃん! 行きますよ!

 テーブルで二度寝を始めていたルルちゃんを起こし、急いでニコさんの部屋へ。

 あ、ノアさん達は朝食の準備を続けてください。大丈夫、大丈夫です、多分。


 そうして部屋へ向かうとドアの前には縄でグルグル巻きになった子供たちが……。

 私とルルちゃんに気が付くと、彼らは涙目で助けを求めてきます。

 はぁ……やり過ぎですよ、ニコさん。あぁ、今助けるから待ってください。

 縄を解くと、涙を浮かべた子供たちはお礼を言って食堂へ帰っていきます。

 さて……ニコさんを起こしましょうか。そのあとはたっぷりお説教です!


 慎重にドアを開けましたが、流石に二重、三重の罠は張られていませんでした。

 室内に入ると、書類の山に埋もれるようにして眠るニコさんの姿が……。

 この状況で寝ているとか相変わらずですね……ほら! 起きなさい!

 声を掛けつつ拳で頭をコツコツ。するとムクリと起き上がるニコさん。

 朝ですか? ……む、罠が動いてます……じゃあ、ないですよ貴女は!


 その後、若干涙目になるまでニコさんを叱って食堂へ戻りました。

 まぁ、罠には子供たちを危険な薬品から遠ざける目的があったようですけど……。

 ニコさん、謝ってましたが子供たち怯えてましたね……仲直りできるでしょうか?


 朝からそんな騒動があったので、作業が終わった夕方にはもうクタクタです。

 それでも夕食の前後で遊びに誘ってくる子供たち……少しは休ませてください。

 はぁ……早く経営を軌道に乗せて自由気ままな生活に戻りたいです。


 今日の収支

 特になし

 ――――――――

 残金:金貨3枚、銀貨29枚、銅貨63枚

     猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 (_ _;)…今日はぐっすり寝たい……です。

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