248日目:魅惑の焼き菓子。
神聖歴六一〇二年・
はぁ……昨日の疲れが微妙に残っていて体が重いです。
まさか試作した聖水の検証作業があんなに大変だとは思いませんでした。
というか、ニコさんが張り切り過ぎて途中から暴走気味に……。
ニコさん、聖水の試作品が尽きるたびに教会へ戻って新しく調合するんです。
そして、それを再びゴーストへ投げるという作業が夕方まで延々と続きました。
でも、まだニコさんの納得のいく聖水には程遠いんだとか……。
今日もまた同じ作業をやるんですかね? うぅ……朝からなんだか憂鬱です。
そんな不安を抱きながら、この日もサールさんの教会へ。
到着すると、昨日と同じように役割ごとに分かれ作業を開始します。
……今日は何本ぐらい投げるんでしょう? お昼までには終わりますかね?
うぅ……作業のことを考えると今から頭が痛いです。
けれど、その心配は杞憂に終わりました。
ニコさん、今日は前日の結果をまとめるのに忙しいんだとか……。
昨日だけでも五十本以上は投げましたからね……その検証も一苦労です。
なので、私も一緒に作業しようとしたんですが……ちょっと無理でした。
だってニコさん、普段の癖で錬金術師の暗号を使って結果を記録してるんです。
数字以外はなにが書いてあるのか全く分かりませんでしたよ……。
というわけで、試験結果の検証はニコさんに任せ、私は他の場所のお手伝いへ。
けど、二日連続で試作品の試験に駆り出されなくて本当によかったです。
体力的にも精神的にもかなり厳しいんですよ、あの作業。
効果の薄い聖水を投げるとゴーストに物凄く睨まれたりして……。
……できればもう数日お休みしたいですね。
なんてことを考えていると、食堂の前に着きました。
手を貸すならここでしょう。サマラさん達の書類関係も私には分かりませんし。
そうして中に入ると、食堂内は予想以上の戦場でした……。
焼き菓子を作るノアさんとルルちゃんに、隙を見てそれを奪う子供たち。
あぁ……ルルちゃんが余所見している間にお菓子が皿ごと盗まれていきます。
……苦労しているのは私だけじゃなかったんですね。
あまりにも状況が酷いので急いで助けに入ります。
ほらほら~皆~、こっちで遊びますよ~。
しかし、そう呼びかけたものの子供たちは見向きもしません。
くっ……流石はノアさんの作るお菓子……手強いです。
こうなったら仕方ありません奥の手を使いましょう!
じゃーん! 手乗りソシオです! ほらほら! 可愛いですよ?
けれど、この切り札すら子供たちの興味をまるで引けません。
そんな……まさか一人も相手にしてくれないなんて……。
予想外の結果に落ち込んでいると、一人近付いてくる女の子。
そして、元気出して、と焼き菓子を一つ手渡してくれます。
うぅ……ちびっ子に同情されました……つらいです。
あ……お菓子は凄く美味しかったです。
……子供たちが夢中になるわけですね。
今日の収支
銀貨:-4枚(宿泊費×5+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
――――――――
残金:金貨3枚、銀貨29枚、銅貨83枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
(*'-'*) このお菓子なら人気が出るかもしれません!
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