244日目:サマラさんの退院祝い。

 神聖歴六一〇二年・黄冬猪おうとういのししの月第一三日・天気:雨


 ふぁ~……夜遅くまで教会の経営再建案を考えていたので少しだけ寝不足です。

 収入源を増やす。ただそれだけなのに現実は上手くいかないことだらけ……。

 ……打開策を期待してブランさんへ送った手紙の返事も未だにありませんし。

 あれから約十日、速達で出したのでもう返事が届いてもいい頃なんですけど……。

 はぁ……もう暫く私達だけで頑張るしかないですね……本当に厄介な依頼です。


 ……朝から愚痴ばかり吐いてしまいました。もっと明るく元気にいかないと!

 あ、そういえば今日はサマラさんの退院日なんですよ!

 教会の件は気になりますけど、これは盛大にお祝をしないといけませんよね!


 というわけで朝食後、治療院へサマラさんを迎えに行きます。

 そうして到着すると、ちょうど建物から出てきた彼女に会うことができました。

 駆け寄りお祝の言葉をかけると、驚いた表情を浮かべるサマラさん。


 でも、これぐらいでビックリしてもらっては困ります。

 だって今から皆でお祝に美味しいものを沢山食べるんですから!

 そう言うと、え? え? と目を白黒させるサマラさん。

 ……少し説明を省略し過ぎたでしょうか? まぁ、大丈夫ですよね!


 そうそう、今日のお祝には前々から目を付けていた高級宿を利用します。

 場所は東区の第一商業地域。そこで一番有名な老舗が今回のお祝会場です。

 普段なら絶対に利用しませんけど、お祝い事ですからね!


 夕方、未だ困惑するサマラさんを中心に宴会を始めます。

 目の前のテーブルに並ぶ豪華な食事に珍しいお酒の数々。

 流石、老舗高級宿! 見ているだけで幸せな気分になってきます。

 って、ニコさん!? なに勝手に食べ始めてるんですか! 乾杯がまだですよ!

 もう。それじゃあ、改めて。サマラさん、退院おめでとうございます、乾杯!


 暫く食事をしていると、それで? と脈絡なくサマラさんに問い掛けられます。

 しかし質問の意図が読めずに首を傾げると、クスクスと笑われてしまいました。

 そして、なにか頼みがあるからこんな席を設けたんでしょう? とサマラさん。

 続けて、例の指名依頼はそんなに難しい?って、確かに苦戦はしていますけど。

 でも、これはそんなんじゃありません! 本当に嬉しいからお祝したんです!

 そう言うと、ふ~ん、お人好しだねぇ、と再び笑われてしまいます。

 むぅ……サマラさん、もしかして酔ってますか? 顔が真っ赤ですよ?


 それから数時間後、サマラさんの退院祝いは無事に終了しました。

 う~ん、楽しかったですね。途中、少しだけ妙な雰囲気になりましたけど……。

 でも、全体的に見れば始終和やかに進み、いい息抜きになったと思います。

 ここ最近は教会関系のことで皆には気苦労をさせっ放しでしたからね。

 

 さて、また明日から色々頑張らないと。

 大変ですけど、挫けませんよ! だって、私は冒険者ですからね!

 

 今日の収支

 金貨:-1枚(宿泊費×5+ソシオ)(寝床☆☆☆、食事☆☆☆)

 ――――――――

 残金:金貨4枚、銀貨45枚、銅貨83枚

     猫銀銭190枚

  借金残高:金貨12枚、銀貨86枚

 

 ('-'*) 指名依頼が上手くいったらまたお祝に来たいですね。

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