241日目:思い出した相談相手。

 神聖歴六一〇二年・黄冬猪おうとういのししの月第一〇日・天気:晴


 昨日はあのあと他の小さな教会も巡ってみましたが……ダメですね。

 どの教会も信者からの献金や寄付を主な収入源にしていました。

 それでも資金が足りない場合は聖水やお守りの販売など……。

 あぁ、怪しげな免罪符とかもありましたね……商魂たくましいです。


 はぁ……これからどうしましょうか……。

 信者は急には増えませんし、聖水などを作っても売れるかどうか……。

 そもそも人がほとんど来ませんからね、サールさんの教会。

 圧倒的な知名度不足に加えて、場所も東区の端とかなり辺鄙ですし。

 ……う~ん、誰か教会の経営に詳しい人っていませんかね?

 サールさんは今一その辺に無頓着で頼りにならないんです……。


 そんなことを考えていると、ふと思い出しました。

 ……あぁ! います。いますよ! 教会に詳しそうな知り合い!

 なんで今まで忘れていたんでしょう? サマラさん! サマラさんです!

 元神官の彼女ならなにか名案を出してくれるかもしれません!

 よし、今日はサマラさんのお見舞いへ行きましょう!

 きっとまだ退院せずに治療院に入院しているはずです。


 というわけで朝食後、治療院へ。

 数日ぶりに会うサマラさんはさらに元気になっていました。

 もう見た感じは健康そのもの……回復魔術ってやっぱり凄いです。


 ふふっ、サマラさんに相談してみようと思って正解でしたね。

 これほどの回復魔術が使えれば教会内の地位はかなり高かったはずです。

 なら、教会の経営方法についてなにか知っていてもおかしくはありません。

 そう確信して暫くお喋りしたあと、本題を切りだします。


 そうして話を終えると、目を閉じ難しい表情を浮かべるサマラさん。

 ……やっぱり無理な相談だったでしょうか?

 よく考えたら経営方法とか簡単に話せるものでもありませんし……。

 

 ……うん、仕方ないですね。今回はこれで帰りましょう。

 サマラさんの元気な姿を見ることができただけでもよかったです。

 あ、数日後には退院らしいので、その時はお祝しないといけませんね。


 治療院を出ると時刻はちょうどお昼時でした。

 この時間帯ならまだ軽い依頼をこなすことができそうです。

 ……昼食を終えたら冒険者ギルドへお仕事探しに行きますか。

 体を動かしていればなにかいい案が浮かぶかもしれませんし……。


 はぁ……でもこのままだと本当に手詰まりです。

 今までで一番面倒で難しい指名依頼かもしれませんね。

 ……けど、なにがなんでも成功させないと。

 教会にいる沢山の子供たちの生活がかかっているんですから。

 ……あと借金の大幅減額も。な、なんですか? 大事なことですよ!?


 さて、そうと決めたらできることをやりましょう。

 小さなことからコツコツとです!

 そうだ、今日の依頼は狩猟系がいいですね。

 余ったお肉を持って行くと子供たちが喜びますから!

 

 さぁ、前を向いて頑張りますよ、皆!


 今日の収支

 銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

     +5枚(依頼報酬)

 ――――――――

 残金:金貨5枚、銀貨11枚、銅貨83枚

    猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 ('-'*)  絶対にあのボロ教会を立派にしてみせます!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る