240日目:教会巡りです!

 神聖歴六一〇二年・黄冬猪おうとういのししの月第九日・天気:晴


 一晩悩みましたが教会の収入を増やすいい案が思い浮かびません。

 う~ん、というか他の教会はどうやってお金を得ているんでしょう?

 ……ふむ、まずはその辺から調査をするべきかもしれませんね。

 他の教会の収入源が分かれば、それを利用できるかもしれませんし!


 というわけで、今日は王都東区内の教会を巡ります。

 でも、全てを回るのは無理なので調べるのはほんの一部です。

 だって、大小合わせて一〇〇近くあるんですよ?

 全部調査していたら時間がいくらあっても足りません。

 なので、比較的経営状態が良さそうな教会を中心に回っていきます。


 あ、最初の教会が見えてきました。

 第一商業地域の入口に居を構える、東区でもかなり有名な教会です。

 その白く美しい建物が陽の光で輝くと思わず目を奪われてしまいます。

 うん……あの石造りでボロボロの教会とは見た目からして大違いです。

 ……これは参考になりますかね? なんか色々負けている気がします。


 屋内へ進むと外見に違わぬ荘厳さに言葉を失いました……。

 純白の空間に緋色の絨毯、整然と列をなす高級素材の長椅子。

 見上げる程高い天井に目を向ければ、彩色豊かな天井画の数々。

 そして正面、祭壇の頭上には神秘的な輝きを放つステンドグラス。

 ……うん、これは教会の選択を誤りましたね。格が違い過ぎます。


 そんなことを考えていると、なにかご用ですか? と声を掛けられます。

 振り向くと、白地に金糸で刺繍を施した修道服に身を包む女性の姿が。

 うわぁ、服装からして酷い差です。てか、本当に修道服ですか、それ!?

 

 はぁ……王国があれだけ力を削いだ歴史がありながらなおこの財力。

 当時の宗教組織がどれほど強大だったか推し量れるというものです。

 って、今はそれを気にしている場合じゃありませんね。なにか言わないと。

 黙ったままでは怪し過ぎます。ほら、修道女さんが怪訝そうにしています!


 慌てて、観光です、と伝えると安心した様子で微笑んでくれる修道女さん。

 あ……そうか、冒険者の姿だから怪我人がいるかと心配してくれたんですね。

 怪我をしたら治療院ではなく教会を利用する場合もありますから……。

 ふむ、この人なら色々教えてくれるかもしれません。少し話をしてみましょう。


 その後、教会の歴史なんかを聞きながら、それとなく収入源について探ります。

 これだけ立派な教会ならさぞ維持費も大変ですよね? とか言って。

 まぁ、こんな会話で分かるのは公にできる収入源だけですけどね。

 それでも、なにも分からない現状よりは遥かにマシです。

 ……どんなに些細な情報でもその蓄積が大事なんですよ。


 そうして分かった主な収入源は、信者からの献金と寄付などでした。

 ……うん、やっぱり参考になりません。

 あのボロ教会にここと同じ数の信徒がいるとは思えませんし……。

 

 よし、頑張って他の教会も回りますよ! 挫けるな、私!


 今日の収支

 銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

 ――――――――

 残金:金貨5枚、銀貨9枚、銅貨83枚

    猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚

 

 (- -;) むぅ……もう少し小さな教会も調べるのです。

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