236日目:荒野に舞う土煙。
神聖歴六一〇二年・
さて、今日は教会のほうはお休みして普段通りの依頼をこなします。
……通常のお仕事もしないと資金がどんどん減っていきますからね。
依頼のあとは数日ぶりにサマラさんのお見舞いへ行くつもりです。
前回は随分元気そうでしたけどやっぱり容態が気になります。
そんな感じに予定を決めて冒険者ギルドへ。
着いたら急いでクエストボードから依頼を選びます。
できれば日暮れ前に終わる依頼がいいんですけど……。
あ、これなんかいいかもしれません。
見つけたのはハバリーという野生の豚の狩猟依頼です。
ハバリーは荒野に棲息していて、姿形は猪とほとんど変わりません。
唯一違うのは額に鋭い角が一本生えている点でしょうか。
依頼によるとこの角が必要みたいです。確かお薬の素材でしたっけ?
報酬はそれなり……角以外の部位は受注者の自由。
よし……決めました。受付に申請して早速出発です!
そうしてお昼少し前にハバリーがよく目撃される地域に到着しました。
剥き出しの赤い大地。疎らに生える草。吹き抜ける冷たく乾いた風。
初めて王都北側の土地に来ましたけど……東や西、南と全然違います。
東は鉱山と山、西は海と港、南は豊かな森と特徴がありましたけど……。
……外がこんな荒野だけとか北区の街はどうなっているんでしょう?
そんなことを考え周囲を眺めていると、ノアさんがなにかを見つけました。
指し示すほうへ目を向ければ、遠くで大きな土煙が上がっています。
……うん? あれ? あの土煙、段々こっちへ向かってきていませんか?
訝しげに思いつつ暫く様子を見ていると、その正体が分かりました。
土煙の中心には一頭の猪らしき獣の姿。
額には角……あれがハバリーです!
意外と簡単に見つかりましたね! けど……なんか凄く大きいですよ!?
普通の猪の五倍ぐらいあるように見えるんですけど!?
ノアさん、ノアさん! 急いで攻撃を開始してください!
あれと接近戦でやり合うとか自殺行為です! 早く! 早く!
数分後、ノアさんのお陰でどうにかハバリーを狩ることができました。
はぁ……早めにあの大きさに気が付いて良かったです。
でも最近はノアさんのお世話になりっ放しですね……。
やっぱりちゃんとした遠距離武器をパーティで揃えるべきかもしれません。
そうしないとノアさんの負担が増えるばかりです。
その後、王都へ帰る準備をしていると、ニコさんに引き止められます。
なんですか? え? ニコさんも角が欲しいんですか?
う~ん、ダメですね……もう一頭狩る時間がありません。
今日は我慢してください。ほら! 帰りますよ~。
早く戻ってサマラさんのお見舞いへ行かないといけないんですから。
不満気なニコさんをどうにか説得し、王都への帰路を急ぎます。
王都北区ダンレス街……年が明けたら訪れてみたいですね。
今日の収支
銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
+45枚(依頼報酬)
+10枚(ハバリーの肉:一部売却費)
――――――――
残金:金貨5枚、銀貨17枚、銅貨83枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
('-'*) 残りのお肉は教会の子供たちにお土産です!
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