234日目:年末の高級食材。

 神聖歴六一〇二年・黄冬猪おうとういのししの月第三日・天気:晴


 昨日は報酬に釣られて了解しましが教会の経営再建とかどうすれば……。

 やっぱり支店へ行く前に本店のブランさんと連絡を取るべきでしたね。

 グリさんも悪い人には見えませんでしたが、ちょっと信用できません。

 まぁ、ただの勘ですけど……でも、私の勘は良く当たるんですよ?

 よし……手紙でブランさんにも依頼の受領報告を一応しておきましょう。


 手紙を書き終えたら、冒険者ギルドへ。

 着いたらいつも通りクエストボードからお仕事探しです。

 さて、今日はなんの依頼を受けましょうか?

 明日は教会へ行く予定なので、軽い感じのお仕事が希望です。

 

 少しして見つけたのは狩猟依頼。対象はシームという鳥です。

 以前ブランさん達と旅をしていた時、マヴロさんが狩ってきたヤツですね。

 元々高級食材ですが、普段よりも倍以上値上がりしています。

 年末の催し物などで欠かせない食材のため需要が増えているんでしょう。

 ふふっ、沢山狩って大儲けなのです!


 しかし、そう意気込んで森へ来たものの……いませんね、シーム。

 警戒心が強いことに加えて、他の冒険者も狩っているのが原因ですかね?

 ……よし、時間はまだありますし、二手に分かれて探しましょう。

 私はノアさんと行くので、ニコさんはルルちゃんをお願いします。

 ルルちゃんが一緒だとニコさんも自分勝手に動かないみたいですからね。

 昨日の依頼も成功させていたようですし、今回も大丈夫でしょう。


 そう二人を信じて、私はノアさんと森の奥へ。

 暫く歩いていると、急にノアさんが藪へ隠れるように指示してきます。

 理由を察し、音を立てないように急いで藪の陰へ。


 息を潜めていると遠くの木々の間から、赤い頭の黒い鳥が現れました。

 シーム、シームです! それも両手で抱える程の大物です!

 喜ぶ私の横で、静かに弓を引き絞るノアさん。

 次の瞬間、放たれた矢は吸い込まれるようにシームの胸へ。

 ……流石ですね、ノアさん。よし、この調子で狩っていきましょう!


 夕方。ニコさん達と待ち合わせをしている場所へ向かいます。

 結局、あのあとは一羽も狩ることができませんでした……残念です。

 肩を落として待ち合わせ場所に向かうと、そこには笑顔のニコさん達が。

 その足元にはシームが三羽も! えぇ!? どうやって狩ったんですか!?


 あまりの結果の違いに驚いていると、お薬は偉大です、とニコさん。

 へぇ~……お薬? お薬ですってニコさん?

 無視できない言葉に笑って問い掛けると、逆にニコさんから消える笑顔……。

 ふふっ、誘因物質系のお薬は危険だから無暗に使わない約束でしたよね?


 その後、王都へ帰る道すがらニコさんをしっかり叱りました。

 全く……少し目を離すとすぐコレです。

 ……お陰でかなり稼げましたが、それはそれです。


 今日の収支

 銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

    -1枚(ブランさんへの手紙(速達))

 金貨:+2枚(依頼報酬+シーム売却費×4)

 ――――――――

 残金:金貨4枚、銀貨68枚、銅貨83枚

     猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 (*'-'*) 予想以上の高額報酬でした! 大儲けです!

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