232日目:奉仕活動とは……?
神聖歴六一〇二年・
さて、今年も残すところあと一月になってしまいました……。
冒険者になってそろそろ八ヶ月ですが、あっという間の一年でしたね。
……よし、皆で無事に年を越せるように今月も頑張りましょう!
というわけで、まずは昨日受注した指名依頼を片付けます。
依頼内容は奉仕活動。場所は東区の端に佇むとある教会です。
まぁ、年末の奉仕活動といえば教会の手伝いと相場が決まっています。
というのも、この活動を広めたのってもともと大昔の教会なんですよ。
この一年で積もり積もった罪を神様に奉仕して浄化しましょう~。
当時はそんな言葉で人を集め、信者を増やすのが教会の計画だったとか。
けれど、それは時代が進むにつれ形骸化し、やがて目的を失います。
結果、年末は教会で奉仕活動! という行事だけが残ることに……。
でも、活動が本来の意味を失った一番の理由は当時の王家にあります。
あの時代の王家は宗教組織の権力分散に躍起になっていましたから……。
ふふっ、その辺の歴史を調べてみると結構面白いんですよ?
この国の王家の歴史はある意味、宗教との戦いの歴史ですからね……。
と、色々話が逸れてしまいました……危ない、危ない。
今から教会で奉仕活動をするのに、私はなにを書いているんでしょうね。
そうして、指示された教会に着いたのはお昼少し前。
けど、なんか想像していた教会と違いますね……凄く……ボロです!
鉄製の門は錆つき、石造りの建物には無数の亀裂、庭は荒れ放題。
本当にここでいいんですよね? 間違ってませんよね?
あまりの惨状に困惑していると教会から初老の女性が一人姿を現します。
水色の修道服を着ていますし、ここの教会の人かもしれません。
そう思って見ていると、彼女のほうから近付いてきてくれました。
用件を尋ねられたので、冒険者ギルドからの依頼だと素直に答えます。
すると、手を合わせて感謝されてしまいました……なんか変な感じです。
初老の女性はサールさんというお名前でした。
今は彼女に案内された教会の応接室で今後の話をしています。
奉仕活動の内容や日程など決めることが割と多いんです。
しかし、暫く話していると部屋の外が急に騒がしくなります。
次の瞬間、部屋に雪崩れ込む小さな子供達。その数、二十人以上!?
驚いているとサールさんへ、お昼はまだですか? と口々に訊く子供達。
えっと、これはまさか……この教会で面倒をみているんですか?
唖然としながらサールさんへ尋ねると、困った様子で頷かれます。
……この教会が荒れ果て、困窮している理由が分かりました。
でも、だからといってこれをどうしろと?
その後、とりあえず今日は活動の日程を決めて解散することに。
次回は第四日辺りにまた訪れる予定です。
それまでに、なんとかブランさんと連絡を取りたいですね。
あの人は私達に一体なにをさせたいんでしょう……謎です。
今日の収支
銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
――――――――
残金:金貨2枚、銀貨74枚、銅貨83枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
(・_・;) こ、これは面倒事に巻き込まれている気が……。
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