先輩冒険者さんが助けてくれるのできっと大丈夫なのです！ 新米冒険者の日記帳

231日目：月末のアレへの対策案。

　神聖歴六一〇二年・神楽狗（かぐらいぬ）の月第三〇日・天気：晴

　はぁ……朝から憂鬱です。昨日、治療費を払ったら資金が一気に減りました。

　少し高すぎませんか？　……確かに命には代えられませんけど。

　そして、今日は月末……税金等で再びお金が飛んでいきます……足りますかね？

　あぁ……猫又商会の借金返済もそろそろしておかないと……お金、お金が……。

　気温以上に急激に寒くなるお財布事情を気にしながら今日も冒険者ギルドへ。

　……なにかいい依頼が入っていると嬉しいんですけど。

　淡い期待を抱きつつクエストボードを物色しますが……ありませんね。

　いえ、依頼の数自体はいつもより数割増しで多いんですよ？

　ただ、どれも少し面倒なお仕事ばかりなんです……。

　悩んでいると、受付から眼帯お姉さんが声を掛けてきます。

　……この人いつもあそこにいますけど、ギルドマスターって暇なんですかね？

　そんな思いが表情に出てしまったのか、眼帯お姉さんに物凄く睨まれました。

　ヒッ！　な、なんの用事か分かりませんが早く行ったほうがよさそうです。

　受付に行くと紙を二枚渡してくる眼帯お姉さん。

　一枚目は、アレです。いつもの月末に払う税金関係の書類です。

　……相変わらず高いですね……もう少し安くなりませんかね？

　二枚目は……指名依頼ですね……猫又商会からの。

　内容は明日から年末にかけての奉仕活動って……また妙な依頼を……。

　依頼内容に困惑していると、借金に苦労してるなぁ、と苦笑する眼帯お姉さん。

　うぅ……本当のことなのでなにも言い返せません……。

　はぁ……税金がもう少し安くなれば楽になるんですけどね……。

　でも、冒険者ランクが上がれば高くなる一方で安くなることはないのです。

　……高ランクになれば行ける場所も増えますが、今は夢のまた夢ですね。

　そんなことを考えていると、税金なら安くなるよ？　と眼帯お姉さん。

　え！　本当ですか！？　ってなんでそれで悩んでるって分かったんです！？

　驚いていると、いや、独り言だだ洩れだよ、アンタ、と笑われてしまいます。

　うっ……さっきの全部声に出てたんですか……？　嘘ですよね？

　救いを求めてノアさん達に視線を向けますが、無言で首を横に振られます。

　……最悪です……これもきっと長かった治療院生活のせいです。

　その後、眼帯お姉さんから詳しい話を聞いてみました。

　すると、コミュニティを立ち上げるか、加入すれば税金が安くなるんだとか。

　一応検討のするために資料をもらいましたが……どうしましょう？

　どうせなら自分で作りたいですけど、運営とか難しそうですよね……。

　それに動機が税金対策というのもなんだか格好悪い気が……。

　う～ん、悩みますねぇ……コミュニティ……。

　……奉仕活動でもしながら考えましょう。

　今日の収支

　銀貨：－3枚（宿泊費×4＋ソシオ）（寝床◎、食事◎）

　　　　－10枚（国民税）

　　　　－15枚（国民税：ノアさん）

　　　　－10枚（国民税：ニコさん）

　　　 　－3枚（国民税：ルルちゃん）

　　　　－3枚（ソシオ：継続登録費）

　――――――――

　残金：金貨2枚、銀貨77枚、銅貨83枚

　　　　　猫銀銭190枚

　借金残高：金貨12枚、銀貨86枚

　(_ _;)…結局今日のお仕事はなし。明日からは奉仕活動。

　　　　　　……儲かりませんねぇ。