228日目:噂話の真相……。

 神聖歴六一〇二年・神楽狗かぐらいぬの月第二七日・天気:雨


 暇……ですねぇ~。天気も雨で余計に憂鬱です……。

 はぁ……この雨なら森へ行けばキングナメークを狩り放題なのに……。

 ……ルルちゃんがどれほど成長したかこの目で確かめたかったですね。

 さて、今日は一日なにをして過ごしましょうか……。


 う~ん、ダメですね……なにも思いつきません。

 外室禁止令を無視し、院内探索をしてたのも退屈過ぎたのが始まりですからね。

 ……その代わりになることが簡単に見つかるわけがありません。

 困りましたねぇ……また院内探索をするわけにもいきませんし……。

 

 午前中そんなことを鬱々と考えながら迎えた午後。

 やることもなくベッドで寝ていると、サマラさんが遊びに来てくれました。

 まだ移動は車椅子ですが、顔色は数日前よりさらに良くなっています。

 順調な回復を喜ぶと、これもアナタ達のお陰だね、と笑うサマラさん。

 この調子ならサマラさんの退院は意外と早いかもしれませんね。

 ……私より先だったらどうしましょう? ……大丈夫ですよね?


 そんな不安を感じつつ午後はサマラさんとお喋りをして過ごします。

 二人とも時間を持て余しているので、会話が途切れることはありません。

 そうして話し込んでいると、話題はいつの間にか『開かずの扉』に……。

 扉は見つかったの? と訊いてくるサマラさんに私は首を横に振ります。

 ……マッピング中に怪しい場所は数ヶ所発見したんですけどね。

 言いながらベッドの上に未完成の地図を広げると目を丸めるサマラさん。


 でも、これだけ調べても『開かずの扉』は発見できませんでした……。

 まだ探索していない場所もありますけど、本当に存在するんですか?

 地図を睨みつつ尋ねてみると、肩を竦めるサマラさん。

 実は彼女もレイス化している時、探した経験があるそうです。

 もしかしたら、そこに仲間がいるかもしれないと思ったんだとか……。

 けれど、結局はサマラさんも見つけることはできなかったと……。


 あれ? 待ってください。私に『開かずの扉』の噂を話した理由ってまさか?

 しかし、サマラさんに視線を向けると、素知らぬ様子で顔を逸らされました。

 ……つまりアレですか……まんまと釣られたわけですね、私。

 自分では見つけられないから、私を上手く誘導して探させようとしたと……。

 

 でも、それなら『開かずの扉』の噂ってサマラさんの作り話だったんですか?

 本当のところが気になって訊くとニヤリと笑うサマラさん。

 この治療院の地下に古い墓所があるらしいって、まさかそこへ続く扉ですか!?

 驚いて尋ね返すと、どうだろうねぇ~、と笑って誤魔化されます……。


 ハッ!? もしかして、サマラさんの部屋に異常にゴーストがいた理由って!

 うわぁ~、なんか知らなくていい事実を知った気がします!

 うぅ……真実は分かりませんけど、こんな治療院早く退院したいです……。

 

 今日の収支

 銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

     +3枚(ノアさん達の依頼報酬)

 ――――――――

 残金:金貨7枚、銀貨20枚、銅貨83枚

     猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 ( p_q)エ-ン 聞かなければ良かったのです。

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