227日目:私にできること。

 神聖歴六一〇二年・神楽狗かぐらいぬの月第二六日・天気:曇/雨


 むぅ~……ノアさんと約束したものの部屋から出ないのはやっぱり退屈です。

 退院は近々という話でしたけど……具体的には何日後なんでしょう?

 明日ですかね? それとも明後日? ハッ!? もしかして今日!?

 あぁ~、待ち遠しいですねぇ、退院。……早く冒険へ行きたいです。


 そんなことを考えながら午前中を乗り切り、迎えたお昼。

 昼食はいつもと変わらず野菜と薬草尽くしの献立でした。

 ……もうすぐ退院ならそろそろ普通の食事が食べたいです。

 そうですね、例えばお肉とか、お肉とか、お肉とか……。


 そしてやってくる午後、最も暇で退屈な時間帯……。

 ……今日はなにをして過ごしましょうか?

 サマラさんがまた来てくれたらいいんですけどね……。

 外室禁止令があるので私からは会いにいけませんし。

 はぁ……本当、部屋に籠りっ放しは暇ですねぇ……。

 あまりにも暇過ぎたので、日記をパラパラと読み返してみます。

 

 ……読んでみると、アレですね。

 私ってつくづく運が良いというか、なんというか……。

 リンセさんやサマラさんに起こったことは決して他人事ではないんです。

 ……なにかが違っていればこうなっていたのは私だったかもしれません。

 確かに冒険者をしていればこれらは誰にだって起こる可能性はあります……。

 

 けれど……それでも、思わずにはいられません……。

 こうやって幸運にも無事だったのにはなにか意味があるんじゃないかと……。

 ゴーストと関わったからかもしれませんね……こんなことを考えるのは……。

 あんなに思いや願いがあった彼らが死に、私は運良く生きている……。

 その違いはなんだったのか……考えても簡単には答えは出ません……。

 

 でも、だからなにか少しだけでも皆のためにできたらいいなって思います。

 ……今まで色んな人に助けてもらったので、それを僅かでも返したいって。

 私みたいな冒険者にできることは限られているでしょうけど……。

 それでも、精一杯頑張っていこうと日記を読んで、改めてそう思います……。

 うん……暇だ、暇だと嘆いていましたけど、自分を見つめ直すいい機会でした。


 意外と有意義な時間を過ごし、時刻は夕方。

 ノアさん達が朝に引き続きお見舞いに来てくれました。

 あれ? なんだかルルちゃんが凄く嬉しそうです……なにかあったんですか?

 訊くとルルちゃんは自信満々に答えます。

 ついにキングナメークを倒しました! って本当ですか!? 凄いです!

 でも、それなら退院したらちゃんとお祝しないといけませんね。

 そう言うと、はい! だから早く元気になってくださいね、と笑うルルちゃん。


 ……なんだかルルちゃんにまで気を使わせて本当にダメダメですね、私。

 うん……真面目に体を治さないと……。

 なにをやるにしてもまずは元気になることが一番です。


 今日の収支

 銅貨:+60枚(キングナメーク討伐報酬×1)

 銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

     +2枚(ノアさん達の依頼報酬)

――――――――

 残金:金貨7枚、銀貨19枚、銅貨83枚

    猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 (*'-'*) 退院目指して頑張るのです。

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