226日目:続く治療院生活……。

 神聖歴六一〇二年・神楽狗かぐらいぬの月第二五日・天気:晴


 今日で治療院生活も十五日目……約半月も入院していることになります。

 ……そろそろ退院させてくれませんかね? というか退院させてください!

 もう十分元気になりましたよ! これなら退院しても大丈夫だと思うんです!

 サマラさんの件もほぼ解決してやり残したこともありませんし……多分。

 

 そんな感じのことを朝、お見舞いにきたノアさんに話していたんですが……。

 大人しくしていないから入院が長引くんだよ? と一蹴されてしまいました。

 ……優しい笑顔でしたけど目が笑ってなくて物凄く恐かったです。


 う~ん、もしかしたら昨日のことをまだ怒っているのかもしれません……。

 実はあのあともサマラさんと話していて部屋へ帰ったのは結局、夕方近く。

 なのに、ノアさん達は朝からずっと私が戻るのを待っていてくれたんです。

 それも部屋へ巡回にくる職員さん達を始終誤魔化しながら……。

 

 でも、ノアさん達にはしっかり理由も説明してちゃんと謝ったんですよ?

 なのに、なぜ許してくれないんでしょう……いえ、完全に自業自得ですね。

 はぁ……今日は部屋で大人しくしておきましょう……暇ですけど。


 と、朝から決心したものの……迎える昼食後、最も退屈な時間帯。

 ……早くもその決意が揺らいで崩れてしまいそうです。

 それぐらい手持無沙汰なんですよ……治療院生活って!


 退屈過ぎて窓の外をぼーっと眺めていると、突然ドアがノックされます。

 ……誰でしょう? 職員さんの巡回時間にしては早過ぎますけど……。

 まぁ、誰でもいいです。このまま一人で暇な時間を潰すよりマシですし。


 そう思ってドアを開けると、そこには車椅子に乗ったサマラさんの姿が!

 えぇ!? わざわざ会いに来てくれたんですか!?

 本当に凄い回復力ですね……最近まで昏睡状態だったのが嘘みたいです。

 驚いていると、私自身も回復魔術は使えるからね、と笑うサマラさん。

 

 いい笑顔ですね。昔の仲間達にあった負い目も少し和らいだのかもしれません。

 ……そうですよ、過去を悔むより笑って前に進んだほうが彼らも喜ぶはずです。

 少なくとも彼女を護っていたあの優しい光からはそんな感じがしました……。


 夕方、二人でお喋りを続けていると、ノアさん達がお見舞いにやってきます。

 サマラさんの姿を見ると、目を丸くするノアさん達。

 そんな彼女達に深々と頭を下げてお礼を言うサマラさん。

 病み上がりなのに無理をしてここへ来た理由は、これもあったみたいです。


 その後、サマラさんはニコさんとルルちゃんが部屋へ送っていきました。

 ……ノアさんと二人きり……なんだか少し気まずいです。

 無言で俯いていると、近々退院できるらしいよ、とノアさん。

 ! 本当ですか!? 顔を上げると微笑む彼女と視線が合います。

 だから、真面目に治そうねって……勿論です!

 早くここから退院して、また皆で冒険へ行くんですから!


 今日の収支

 銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

    +4枚(ノアさん達の依頼報酬)

 ――――――――

 残金:金貨7枚、銀貨19枚、銅貨23枚

    猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 。('-'。) もうすぐ退院です!

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