225日目:いつもそばに……。

 神聖歴六一〇二年・神楽狗かぐらいぬの月第二四日・天気:晴


 ふぁ……昨日の夜はなんだか不思議な夢を見ました。

 見知らぬ冒険者さん達が私を訪ねてきて、次々にお礼を言ってくるんですよ。

 内容はただそれだけなんですが、妙に現実味があったというか……。

 でも、彼らに出会った記憶はないんですよね……変な感じです。


 夢の内容を思い出していると、部屋の外がにわかに騒がしくなります。

 ……なんでしょうね? ……まだ朝食の時間には早過ぎますけど。

 困惑しつつ部屋のドアから外を覗いてみると、慌ただしい職員さん達の姿が。

 彼らが向かう先には、サマラさんの集中治療室があったはずです。

 ……ノアさんは大丈夫と言っていましたが……まさかなにかあったんじゃ?

 心配です。でも人が多過ぎて今は動けません……暫く様子を見てみましょう。


 ……朝食後、隙を見て部屋を抜け出します。

 ノアさん達がもうすぐ朝のお見舞いにくる時間ですが仕方ありません。

 職員さん達がだいぶ静かになりましたし、今がチャンスです。

 ……なにも起こっていないといいんですが。


 数分後、どうにか誰とも遭遇せずにサマラさんの部屋へ到着しました。

 さて、サマラさんは無事でしょうか……?

 部屋の入口にゴーストはいませんし、大丈夫だと思いますけど……。


 若干不安を感じながらドアを開け部屋に入った瞬間、私は言葉を失いました。

 だって、だって……サマラさんが……サマラさんが……起き上がっています!

 驚きのあまり動けずにいると、私に気が付いて微笑むサマラさん。

 ……職員さん達が騒がしかったはずです……一晩でこれは奇跡ですよ!

 

 サマラさんの回復力に驚愕していると、彼女のほうから声を掛けてくれます。

 おはよう、この姿では初めましてだねって……私のこと憶えているんですね!

 嬉しくて駆け寄ると、恩人を忘れるわけないよ、と笑顔で抱き締めてくれます。

 それはとても弱い力でしたけど、彼女の存在を確かに感じられる力強さでした。


 それからサマラさんと二人で色々な話をしました。

 彼女が危篤状態だったこと、ノアさんが助けたこと、ゴーストのことなど等。

 話題が変わるたびにお礼を言われ続け、ちょっと戸惑ってしまいます。

 でも、部屋を護っていた光の話になると、サマラさんの様子が一変しました。

 信じられないといった表情で例の光について詳しく尋ねられます。


 その急な変化に戸惑いつつ説明すると、聞きながら涙を流すサマラさん。

 あれ? そういえば、あの光の人たちは夢の中の冒険者に姿が似てたような?

 え? え? でも……まさかと思いながらサマラさんに質問してみると……。

 仲間です……私の仲間たちです……と彼女は泣きながら頷いてくれます。

 

 あぁ……だからあんなに必死にゴーストを食い止めていたんですね……。

 サマラさん、怨まれてなんかいませんよ。皆、貴女を護っていたんですから。

 そう言うと、サマラさんは涙を流し無言で何度も頷くのでした。

 

 今日の収支

 銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

 ――――――――

 残金:金貨7枚、銀貨17枚、銅貨23枚

    猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 ('-'*) 素敵な仲間たちだったんですね。

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