224日目:優しい光。
神聖歴六一〇二年・
昨日はあのあと職員さんに怒られるどころか、逆に感謝されてしまいました。
五年も昏睡状態だったサマラさんがあの一瞬、意識を取り戻したのは奇跡だと。
でも、覚悟しておくように言われました……ここ数日が峠だそうです。
その不安が顔色に表れたのか、朝のお見舞いにきたノアさん達に心配されます。
どうしたの? 大丈夫? って……大丈夫では……大丈夫ではないのです!
そして、気が付いた時には今までの経緯を感情のままに吐露していました。
全てを話し終えると、ノアさんに物凄く怒られました。
うぅ……ごめんなさい……だって言ったら皆が心配すると思ったんです。
素直に謝ると、そのための仲間でしょう、と優しく抱き締めてくれるノアさん。
その後、サマラさんの件を相談すると、ノアさんから意外な原因を教えられます。
彼女の容体が急変したわけ、それはレイス化にあるそうです。
体から魂だけが離れるレイス化は肉体へ著しい負担をかけるんだとか。
ノアさんは言います、これまで無事だったのが奇跡なんだと……。
でも、原因が分かれば対処法はあるよ、と励ましてくれるノアさん。
よし、急いで助けに行きましょう!
そうして、サマラさんの部屋の前に来たんですが……。
うわぁ……昨日よりゴーストが増えてます……右目がチカチカして吐きそうです。
顔を青褪めさせていると、廊下に液体を振り撒き始めるニコさん。
すると、逃げ惑うゴースト達……その正体を尋ねると、手作り聖水だとか……。
聖水なんて香草と塩水を混ぜるだけですって……やっぱり教会はぼったくりです。
さて、部屋にはもう職員さん達の姿はありませんでした。
手の施しようがなく諦めたのかもしれませんね……でも私達には好都合です。
この隙にサマラさんを治療しましょう。
しかし、ノアさんがサマラさんの診察を始めると、外のゴーストが暴れ始めます。
パンッ、パンッと部屋に連続して響く不快な音……これがラップ音ですか?
けれど、決して部屋へは進入しないゴースト達……あれ? もしかして入れない?
でも、なぜでしょう? 魔除けの術式とかは見当たりませんけど……。
不思議に思いながら周囲を見渡すと、部屋の入口に暖かくて優しい光が見えます。
あれがゴーストを押し止めてる? ……一体なんでしょう?
よく見ようと右目を凝らすと、薄らとその姿が浮かび上がってきました。
光は人の形をしています。数は六。兵士ですかね? 弓や剣、盾を持っています。
……やっぱり彼らがゴースト達を入口で食い止めているんです。
数時間後、もう安心だよ、とホッとした様子で微笑むノアさん。
ベッドに近付いてみるとサマラさんは幸せそうな表情で眠っていました。
これなら大丈夫そうですね。ノアさん、本当にありがとうございます。
さて、誰かに見つからないうちに戻りましょうか。
入口のゴーストもいつの間にか消えていますし、急いで撤収です。
今日の収支
銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
――――――――
残金:金貨7枚、銀貨17枚、銅貨23枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
('-'*) 元気になるといいですね。
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