220日目:アナタは誰ですか?
神聖歴六一〇二年・
昨日はサマラさんのことが頭から離れず一睡もできませんでした。
彼女は本当にゴーストだったんでしょうか? 今でも信じられません。
だって生きている人と同じような感じだったんですよ? ……おかしいです。
鬱々と考え込んでいると、ノアさん達が朝のお見舞いに来てくれました。
元気のない私を物凄く心配してくれます……でも大丈夫、私は大丈夫ですよ。
その後、どうにか皆を安心させて冒険者ギルドへ送り出します。
はぁ……お仕事へ行ってくれてよかったです……今は一人がいいので。
溜め息をついて天井を見上げ暫くの間、ぼーっとします……暇ですねぇ。
そんな感じで無為な時間を過ごしていると、いつの間にかお昼に……。
昼食を運んで来てくれた職員さんの姿でそのことに気が付きます。
……今日の献立もいつも通りお野菜と薬草ばかりですね。
そういえば、サマラさんとも食事の話題で度々盛り上がりましたっけ……。
彼女は私の食事に対する愚痴を面白そうにいつも笑って聞いてくれました。
そんなことを思い出したからか無意識にサマラさんの名前を呟いてしまいます。
その瞬間、部屋に響く皿の割れたような音。
視線を向けると、そこには食器を床に落とし目を見開く職員さんの姿が。
ど、どうしたんですか? 大丈夫ですか?
ベッドから降り慌てて駆け寄ると、突然職員さんに両肩を掴まれてしまいます。
そして、どうしてその名を知っているの? と震える声で尋ねられました……。
職員さんが落ち着きを取り戻した後、サマラさんを知っている理由を説明します。
すると、信じられないといった表情を向けてくる職員さん。
……でも本当のことです。私はこの数日間、彼女といつも会っていました。
しかし、その言葉に職員さんはなにかを考え込む様子で黙り込んでしまいます。
数分後、職員さんは自分のあとをついて来るように言うと部屋の外へ。
それを慌てて追いかけ、行き着いた先はベッドが一台置かれた真っ白な部屋。
以前、私がいた部屋に似ています……確か集中治療室でしたっけ……?
……でも、なんでこんな場所へ?
困惑していると、職員さんにベッドの横に来るように言われます。
……誰か寝ていますね……誰でしょう?
そんな疑問を抱きながらベッドの横に立った瞬間、私は言葉を失いました。
だって……ベッドに寝ているのはサマラさんです……。
出会った時より痩せていて、少し歳をとっている気もしますが間違いありません。
あまりのことに混乱していると、彼女は五年前から昏睡状態なんだ、と職員さん。
え? でも、私は確かにサマラさんに会っているんです!
ここにサマラさんがいるなら、私が出会ったあのサマラさんは誰なんですか!?
……わけが分かりません……サマラさん、一体どういうことなんです?
けれど、その問い掛けに彼女が答えてくれることはありません……。
今日の収支
銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
+3枚(ノアさん達の依頼報酬)
――――――――
残金:金貨7枚、銀貨17枚、銅貨23枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
(ノ_-;) なにがどうなってるんです!?
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