219日目:ごめんね、と彼女は囁いて。
神聖歴六一〇二年・
……昨日、右目のことを治療院の職員さんに相談したら物凄く怒られました。
そして、その日の内に検査をしてくれましたがハッキリとした原因は不明……。
ただ体内マナの調整過程で外部から影響を受けた可能性は否定できないとか。
……外部からの影響……心当たりが沢山あって泣けてきますね。
はぁ……このまま治らなかったらとか考えると凄く不安です……不安です。
そんな憂鬱な午前中を過ごし、昼食を終えた午後。
……これからなにをしてこの退屈な時間を潰しましょうか。
いつものように部屋を抜け出すわけにもいきませんしね。
これ以上右目の症状が酷くなっても困りますし……。
暇を持て余していると、部屋のドアがノックされます。
職員さんの巡回はまだのはずですが……こんな時間帯に誰でしょうね?
困惑しながらドアに近付くと、右目がチカチカし始めます……。
そういえば、昨日はこの症状が出てからゴーストに遭遇したんでしたっけ……。
嫌なことを思い出し恐る恐るドアを開けてみると、そこにはサマラさんの姿が。
突然の訪問に驚くと、職員さん達の噂を聞き心配で様子を見にきたんだとか……。
ありがとうございます。なにもない部屋ですけどゆっくりしていってください。
サマラさんを部屋に招き入れたあとは二人で楽しくお喋りです。
暫く話していると、話題は私の右目のことに移ります。
右目が銀色になった経緯やゴーストが見える話を真剣な表情で聞くサマラさん。
そうして説明が終わると、じっと右目を見つめられます……少し恥かしいですね。
思わず照れると、ごめんね、とサマラさんは右目から視線を外してくれます。
……気持ちは分かります……珍しいですからね、こういう能力って。
でも、私的には進んで欲しいとは全く思いませんし、寧ろいらない類です。
そんな感じで過ごしていると、時刻はいつの間にか夕方に。
……そろそろノアさん達がお見舞いにきてくれる時間ですね。
するとタイミングよくドアがノックされます。あ、この叩き方はノアさんです!
本当、丁度よかったです。いつかサマラさんを紹介したいと思っていましたし。
ドアを開けると、今日は真面目に部屋にいたね、と褒めてくれるノアさん。
もう! 子供扱いは止めてください! 友達もいるのに!
そう言って抗議すると、お友達? とノアさんは困惑した様子で首を傾げます。
ほら、そこ! ベッドの上に座ってるじゃないですか!
しかしノアさんは訝しげに私を見つめ、誰もいないよ? と呟きます……。
え? で、でも、ほら! ちゃんとそこにいるじゃないですか!
一人混乱していると、私の横にスーッとやってくるサマラさん。
そして、ごめんね……、と囁くような声で謝るとその場から姿がかき消えます。
……予想外のことに私は呆然と立ち尽くすしかありませんでした。
今日の収支
銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
+1枚(ノアさん達の依頼報酬)
――――――――
残金:金貨7枚、銀貨16枚、銅貨23枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨12枚、銀貨86枚
。・゚゚ '゜(*/□\*) '゜゚゚・。 嘘です! 絶対嘘です!
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