217日目:懲りませんったら懲りません。

 神聖歴六一〇二年・神楽狗かぐらいぬの月第一六日・天気:晴


 むぅ、入院期間が延びてしまいました……数日で退院という話だったのに……。

 ……なぜでしょうね? ……え? 部屋を脱走するのが原因? そんな馬鹿な。

 あ、体の方は少しずつ良くなっているみたいです。

 なので、禁止されていた武器や防具のお手入れが解禁されましたよ!

 これで暇を少し潰せますね! ……あれ? もしかして脱走対策ですか、これ?


 そうそう、食事にも変化がありました……悪いほうにですけど。

 なんというか、今まで以上に緑成分が増加しました。加えて味もさらに薄く……。

 素材の味をいかしたといえば聞こえはいいですが、これは素材そのものです……。

 はぁ、食べる度に野宿の時、眠気覚ましに齧った薬草を思い出して泣けてきます。

 何度でも書きますが、私は虫ではないのです……お肉をください、お肉を!


 そんないつもと少し違う朝と昼を過ごし、訪れる毎日で一番退屈な時間帯。

 さて、どうしましょうか……武具の手入れは午前中に終わったんですよね。

 う~ん……やっぱり治療院内の探検に出かけたいですね。

 サマラさんから聞いた『開かずの扉』の話も気になりますし。

 けど、再び抜け出したのが発覚したらどうなるか……悩みどころです。


 で、散々考えた末、また院内を探検することにしました。

 ……いいじゃないですか。我慢は体に毒なんですよ?

 それに見つからなければなんの問題もありません。

 ふふふっ、なんだか本当にダンジョンを探索している気分ですね。

 危険な魔物=職員さんに出会ったら一瞬で終わるところとかよく似ています。

 まぁ、ここでは失敗しても怒られるだけなので、幾分気楽ですけどね。


 なんてことを考えながら、真っ白な廊下を自作の地図を頼りに進みます。

 ……噂の扉を探すにしてもまずは地図を完成させなくてはいけません。

 それが終わったら怪しいところを順次調査する予定です。

 ダウジング等の特殊なスキルとかないので地道にやるしかありません。

 ……私の退院が先か、扉の発見が先か……時間との勝負です。


 そうして身を隠しつつ地図を書き加えていると、また右目がチカチカします。

 はぁ…いい加減どうにかなりませんかね、これ。なにが原因なんでしょう?

 右目の症状に溜め息をつくと、今日も頑張ってる? と背後から掛けられる声。

 振り向くとそこにはいつも通りサマラさんが佇んでいました……。

 本当、神出鬼没ですねこの人……さっきまで後ろに人の気配はなかったのに……。

 ……一体どこから現れているんでしょう?


 そんな疑問を感じつつ、今日もサマラさんと楽しくお話します。

 正直、この会話が楽しみで部屋を抜け出してるのもあるんですよね。

 そうだ……地図が完成したら扉探しにサマラさんも誘ってみましょう。

 ……きっと楽しくなる気がします!


 あ、今日は問題なく部屋へ帰れました。

 職員さんとノアさんにも気付かれずバッチリです!

 

 今日の収支

 銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

    +4枚(ノアさん達の依頼報酬)

 ――――――――

 残金:金貨7枚、銀貨17枚、銅貨23枚

    猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚

 

 o(゚ー゚*o) 地図の完成が楽しみです。

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