214日目:治療院生活です。

 神聖歴六一〇二年・神楽狗かぐらいぬの月第一三日・天気:晴


 ……暇ですね……まさか治療院生活がこんなに退屈だとは思いませんでした。

 ノアさん達も依頼があるので早朝と夕方しか会いにきてくれませんし……。

 たまに様子を見にくる職員さんはどこか無愛想で会話も挨拶だけ……。

 武器や防具のお手入れも禁止されていて本当にやることがありません。


 こんな時、唯一の楽しみであるはずの食事も全然美味しくなくて泣けてきます。

 薬膳料理? とかいうものなのか野菜中心の食事は薄味で正直物足りません。

 あぁ……お肉が食べたいですねぇ……出てこないでしょうけど……。

 さっき確認したら昼食も野菜ばかりのメニューでしたし……。


 ……そして献立通り、お昼ご飯も本当に野菜一色でした。

 でも、頑張って全て食べましたよ! ……少しでも残すと怒られますし。

 どうやら体内のマナを整えるための食事らしいんですよね……。

 前回と違い今回は重症だったので、こういう方法での調整が必要なんだとか。

 ノアさん達のようにマナ適正があると自身で調整可能だそうですけど……。


 昼食が終わるとまた手持無沙汰に……。

 ……よし、少しだけ治療院の中を探検してみましょう!

 寝てばかりいるのも体に良くないですからね!

 部屋から出ないように言われていますが、すぐに戻れば大丈夫です!


 とか思っていたんですが……迷いました……。

 どこもかしこも真っ白な廊下が続いていて見分けがつき難いんです。

 ……なんですか、ここはダンジョンなんですか!?

 はぁ……とりあえず落ち着きましょう。こういう場合、焦ってはいけません。

 と、とりあえず来た道を戻るんです! そうすれば部屋へ着くはずです!


 ……どうして帰れないんですかねぇ。

 なんだか同じ場所をぐるぐると回っている気がします……。

 そして、不思議なことに職員さんと一度も擦れ違っていませんし……。

 なんか、少しだけ嫌な予感がしますね……。


 そんなことを思っていると、突然右目がチカチカしだします。

 思わず手で擦りますが、治まるどころか逆に酷くなる始末……。

 次第に痛みも出てきて、我慢できずにその場で蹲ることに。

 そうして動けずにいると、大丈夫? と声を掛けられます。

 

 まだ痛む目を薄らと開き、声の主を確認するとそこに女性がいました。

 白いワンピースに腰まで伸ばした黒髪……治療院の患者さんでしょうか?

 職員さんも白服ですが、彼らは白衣っぽい感じの服ですからね。

 それで心配する彼女に事情を話すと、部屋まで案内してくれることに。

 お礼を言うと、ここは迷いやすいからねぇ、と笑われてしまいます。

 

 そうして部屋に着くと、彼女はいつの間にかいなくなっていました。

 あ、名前を訊き忘れました……また会えるといいんですけど……。

 次に会ったら改めてお礼を言いましょう。


 さて、そろそろノアさん達がお見舞いに来る時間帯です。

 今日はどこへ行ったんでしょう? 報告が楽しみですね。


 今日の収支

 銅貨:+70枚(ノアさん達の依頼報酬)

 銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

 ――――――――

 残金:金貨7枚、銀貨15枚、銅貨23枚

    猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 (゚‐゚) 暇ですねぇ、本当。

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