208日目:捜索任務と助っ人達。

 神聖歴六一〇二年・神楽狗かぐらいぬの月第七日・天気:晴


 朝から物凄く憂鬱です。……理由は昨日舞い込んできた指名依頼。

 正直、依頼の裏事情が複雑化していて関わりたくないというのが本音です。

 でも、トーポさん達を追い詰めた一因が私達にもあるように思えて……。


 あの時、パーティを組んでいたらこんな状況にならずに済んだんでしょうか?

 はぁ……今更悔やんでも仕方がないですよね。

 よし、無事に依頼を達成するためにも、気持ちを切り替えて頑張ります!


 さて、今回トーポさん達を捜索するのはシュランゲ遺跡ダンジョンです。

 遺跡というその名が示す通り、大昔の建造物がダンジョン化しています。

 過去に調査した研究者たちよれば、太古の王朝が作った神殿の一部だとか。

 けれど、ダンジョン化の影響で調査が進まず真相は歴史の闇に埋もれています。

 

 ただ、一つだけ明確なのは遺跡系のダンジョンは総じて高難度ということです。

 その原因は遺跡の元々の防衛機能とダンジョン化による罠の増加にあります。

 何気ない通路でも数え切れないほどの罠が張り巡らされているとか……。

 ……私達、無事に帰ってくることができますかね? ……凄く不安です。

 というか、そんなダンジョンでトーポさん達はまだ生きているんでしょうか?

 顔見知りだからという安易な理由で任せてきた冒険者ギルドを恨みたくなります。


 そんなことを鬱々と考えながら、ソシオに乗って荒野を進むこと約二時間。

 ようやくシュランゲ遺跡ダンジョンが見えてきました。

 砂と岩だらけの荒涼とした大地の中に突如として現れる巨大な岩壁。

 そこへ近付くにつれ段々とその岩肌に柱や窓のようなものが浮かび上がります。

 そう、シュランゲ遺跡ダンジョンは岩壁を利用して作られた建造物なんです。

 

 ……遺跡の入口に立つと改めてその凄さが分かりますね。

 岩壁に彫られた門に柱、窓、様々な動物を模した装飾の数々……。

 どれほどの時間と労力を使えばこんなことが可能なんでしょう?

 太古の王朝が作った神殿という説も間違いではないのかもしれません。

 

 古の人々の技術に圧倒されていると、やっときたね、と声を掛けられます。

 声の方へ視線を向ければ、遺跡の右端の柱に人影が二つ。

 弓を持った細身で長身の女性と黒いライトアーマーに身を包んだ男性……。

 ! ルイナさんとルンダさんです! なんでお二人がここにいるんですか!?


 驚いて駆け寄ると、なんの縁か再び助っ人だ、とにこやかに笑うルイナさん。

 詳しく聞くと、彼女もギルドで眼帯お姉さんに声を掛けられたんだとか。

 人手がなくて緊急だからあの四人に任せたが心配だから頼むと……。


 で、ルンダさんはその話をたまたま聞いて、自ら捜索部隊に志願したそうです。

 あの馬鹿どもはなにをやってんだ……と悔しさを滲ませ独り呟くルンダさん。

 彼らとルルちゃんの昇格試験の引率だっただけにその思いは一層強いんでしょう。


 よし、この六人と一頭でどこまでやれるか不安ですけど、捜索任務開始です!

 

 今日の収支

 (特になし)

 ――――――――

 残金:金貨3枚、銀貨18枚、銅貨53枚

    猫銀銭190枚

 借金残高:金貨12枚、銀貨86枚


 ( ^^)人(^^ ) 力を合わせて頑張ります!

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