205日目:オークなキノコ狩り。

 神聖歴六一〇二年・神楽狗かぐらいぬの月第四日・天気:晴


 昨日の一件が頭から離れず、一晩たってもなんだか気持ちが晴れません……。

 ふとした拍子に悲壮な表情を浮かべたトーポさん達の姿が目に浮かんできます。

 そのせいか今朝の宿のお手伝いは失敗の連続です……。

 料理の注文は間違えるし、お皿は割るし……あ~もう、モヤモヤします!


 そんな始終沈んだ気分で宿のお仕事を終え、冒険者ギルドへ。

 ……正直、依頼を受けるのは気が進まないんですけどね。

 でも、体を動かしていないと余計なことを色々考えてしまいます。

 ふぅ……ダメですね……気持ちを切り替りかえないと……。

 こんな状態で依頼に出たら大怪我を負いかねません……しっかりしろ、私!

 

 気合いを入れ直し、クエストボードからお仕事を選びます。

 さて、なにがいいでしょう? 安全に稼ぐなら採取系と運搬系ですか。

 暫く迷った末に選んだのは、マンドリュフの採取クエスト。


 マンドリュフはキノコの王様とまでいわれる今が旬の高級食材です。

 しかし、その正体は以前採取したマンドラゴラの近縁種にあたります。

 つまり立派な魔物です。危険度もほぼ同等。油断すると命の保証はありません。

 けれど、今の時期限定かつ珍しい素材なので報酬はかなり高額です!

 というわけで、サクッと受付に申請を出し、目的地へ向かいます。

 場所は前と同じ王都南の森です。ただ今回は少し奥へ進みますけどね。


 さて、森に着いたらまずはオークを探さないといけません。

 あ、オークは以前ダンジョンでも遭遇した魔物指定されている猪頭の亜人種です。

 え? マンドリュフではなく彼らを探す理由ですか?

 ……それが……マンドリュフって擬態が物凄く上手いんです。

 今の時期、これだけ森中にキノコが溢れていると発見は困難を極めます。

 

 ただ、そこでオークの出番です。実はマンドリュフ、彼らの大好物なんですよ。

 そしてオークはその鋭い嗅覚で的確にマンドリュフを見つけることができます。

 今回はそれを利用してオークが見つけたマンドリュフを横取りする作戦です!

 むっ……そこ! せこいとか言わない! 冒険者の知恵です知恵!


 で、暫く森の中を歩き続けると……いましたオークです!

 地面に鼻を近づけてしきりに周囲の臭いを嗅いでいます……。

 きっとあの辺りにマンドリュフが生えているに違いありません。

 それから藪に隠れてじっとオークを監視すること十数分……。

 

 あ! キノコを掴みました! 今! 今ですノアさん! 射ぬいて!

 しかし、ノアさんは慌てず騒がず落ち着いた動作で弓を引き絞ります。

 そうして次の瞬間、放たれた矢は正確にオークの急所を貫きました。

 

 ふふっ、高級キノコをあっさり確保です! ついでのオークのお肉も!

 マンドリュフを沢山食べたオークのお肉は美味しいらしいので楽しみですね。

 さ、暗くなる前に撤収です! 撤収~!


 今日の収支

 銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

     +70枚(オーク討伐及び売却代金)

 金貨:+2枚(依頼報酬)

 ―――――――― 

 残金:金貨8枚、銀貨24枚、銅貨53枚

    猫銀銭190枚

 借金残高:金貨17枚、銀貨76枚


 ('-'*)そろそろ借金返済に資金を回せそうです。

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