202日目:白竜の鞘。
神聖歴六一〇二年・
ふぁ……微妙に寝不足です。枕の下に小剣を置くのは大失敗でした。
そのせいで寝心地は最悪……期待した夢も見られずいいことナシです。
……よし、朝から暗くなってはダメですね。気持ちを切り替えましょう。
とりあえず今日はまず冒険者ギルドで税金を払わないと……。
そのあとは簡単な依頼のついでに小剣の検証作業です。
ギルドに着き税金を納めたら、クエストボードから討伐系の依頼を探します。
実は昨日の検証後、小剣を実際に使ってみようという話になったんです。
マナ喪失状態の危険は伴うものの、試さないと分からないこともあるからと。
正直かなり不安ですが、小剣を今後も使うためには仕方ありません。
そうして迷いながら選んだ依頼はゴブリンの討伐任務。
これなら最悪、私になにかあってもノアさん一人で対処できますからね。
あと、ルルちゃんの訓練にも丁度いい感じですし……。
そんな安易な考えで依頼の目的地、王都東の岩場へ向かったんですが……。
失敗しました……ゴブリンの中にゴブリン・メイジが数匹混ざっています。
ゴブリン・メイジはその名の通り魔術を使う特殊なゴブリンです。
これは検証作業は無理ですね。メイジとか油断したら大惨事になります。
……普段通り私とノアさんが中心になって戦闘をしましょう。
というわけで、ルルちゃん達を岩陰に待機させ、ノアさんと二人で突撃します。
優先的に潰すのはメイジ。集団戦で魔術ほど恐いものはありませんからね。
……噂では仲間に構わず範囲魔術を使うらしいですし。
普通のゴブリンに囲まれている間に仲間ごとズドンッとか笑えない冗談です。
けれど、ゴブリンの数が多過ぎて簡単にはメイジまで辿り着けません。
そんな中、上空から嫌な気配が……見上げるとそこには円形の魔術陣。
やられた!? 範囲魔術でここ周辺を私達ごと吹き飛ばす気です!
ノアさんも対抗魔術を展開しようとしますが間に合いません!
そして発動する範囲魔術。空を埋め尽くす無数の火球。
でも不幸中の幸いでした……火蜥蜴の外套なら防げるかもしれません。
しかし、そう思った瞬間、突然黒竜の小剣の鞘が光を放ちます。
その光が収まると、上空の火球は全て消えていました……。
予想外の出来事に呆然としていると、黒竜の小剣から伝わる鼓動……。
これは……抜けってことですね……よし、覚悟を決めましょう。
小剣の柄に手を掛け、意を決して横薙ぎに抜剣。
すると周囲一帯に紫電が迸り、ゴブリン達を次々に炭へと変えていきます。
一瞬の後、無傷で立っていたのは私とノアさんだけでした……。
上手くいったみたいですけど……なんで使うことができたんでしょう?
これは帰ったらノアさんと話し合いですね……。
今日の収支
銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
-10枚(国民税)
-15枚(国民税:ノアさん)
-10枚(国民税:ニコさん)
-3枚(国民税:ルルちゃん)
-3枚(ソシオ:継続登録費)
+50枚(依頼報酬)
――――――――
残金:金貨5枚、銀貨60枚、銅貨53枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨17枚、銀貨76枚
(゚-゚;)ウーン 謎が深まります。
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