200日目:倒れた理由と原因。
神聖歴六一〇二年・
目が覚めたら、もうすっかり陽が昇っていました……。
えっと……確か依頼中に倒れたんでしたっけ、私?
慣れない宿のお仕事で疲れが出たんでしょうか? ……また変な夢も見ましたし。
小さな白竜に小さな黒竜が叱られている……今回の夢はそんな感じです。
白竜は呆れた様子でしたけど……黒竜は一体なにをしたんでしょう?
その辺が分からなかったので、起きた今も妙にモヤモヤします……。
……今からもう一度寝たら夢の続きを見られますかね?
そんなことをベッドの上で考えていると、ノアさんが部屋にやってきました。
あ、おはようございます……ってなにか怒ってますか?
なぜか厳しい表情のノアさんにこわごわ尋ねると、深い溜め息をつかれます。
自分がどんな状況だったか分かってるの? と心配そうに訊かれますが……。
お化けキノコを倒したあと、急に意識が遠退いたのでかなり記憶は曖昧です。
そのことを正直に伝えると、ノアさんは少し怒った様子で説明してくれます。
なんでもノアさんが発見した時、私はマナ喪失状態に陥っていたんだとか……。
マナ喪失状態、それは体内のマナが著しく欠乏した時に起こる症状です。
程度が軽ければ気を失う程度で済みますが、重度になると命に関わります。
因みに適正の有無に関わらず、マナはどんな人でも多少は持っています。
マナへの適正があり、体内保有量も多いのが魔術師とかになれる人々です。
そして残念ながら私は適正が無いのでマナを使えません……なのに喪失状態?
一部の魔物にはマナを奪うモノも存在しますが、遭遇したのはお化けキノコ。
……そんな特殊なことができる相手ではなかったはずです。
加えて魔術の使えない私がマナ喪失状態に陥るなんて……ほぼあり得ません。
ただ、考えられるとすれば適正がないのに上級魔道具を使った場合でしょうか?
ランプ等の簡易魔道具はマナ結晶からマナを供給しますが、上級は話が別です。
設計が根本から違うので適正のない者が使用すればたちまちマナが枯渇します。
……そこまで考えてふと嫌な予感が頭を過ぎりました。
魔道具ではありませんけど、厄介なモノを私は一つ持っています……。
頬が引き攣るのを自覚しつつノアさんへ顔を向けると重々しく頷かれます。
そのノアさんの視線の先にあるのは黒竜の小剣……笑えない冗談です。
つまり、私がマナ喪失状態に陥った原因はあの時、小剣が放った紫電ですか。
力なく確認すると、多分ね、と気の毒そうに肯定するノアさん。
……もし、それが事実なら今後この小剣は危なすぎて使うことができません。
使用するたびにマナ喪失状態になるとか問題があり過ぎます……。
武器が成長したことを喜んでいたのに……なんでこんなことに……。
はぁ……これは料理を習っている場合ではなくなってきましたね……。
なにか、なにか解決策を見つけないと……。
今日の収支
銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
――――――――
残金:金貨5枚、銀貨57枚、銅貨53枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨17枚、銀貨76枚
(ノ_-;)ハア…色々最悪の事態です……どうしましょう?
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