199日目:宿の仕事と冒険者業。
神聖歴六一〇二年・
早朝、まだ陽も昇らない時間帯。寝惚け眼を擦りつつ宿のお手伝い開始します。
井戸から水を汲み、食堂の掃除を終えたら、野菜の皮むきなど朝食の下拵え。
それらが一段落すると、宿を早めに出立するお客さん達が食堂を訪れ始めます。
朝も夜以上に大忙しです……というかなんでこんなことになってるんです?
……私はただ料理を教わりたいだけなのに。
宿でのお仕事を終えたら、今度は冒険者ギルドへ。
朝と夜は宿で働き、昼間はギルドの依頼……なんですかこの重労働。
はぁ……料理上手への道は予想以上に長く険しいモノのようです。
夕方までには宿へ帰りたいので、今日は軽めの採取系依頼を受注します。
今の時期だとキノコなどが高く売れるそうなので狙いはそれです。
採取場所は以前も行ったことのある王都南の森。あそこなら近くて安全です。
お昼過ぎ、目的地の森に着いたら早速キノコ探しを始めます。
……それにしても木々の葉が急に赤や黄色に色付き始めましたね。
ついこの間までは青々とした瑞々しい葉が生い茂っていたのに……。
これからどんどん寒くなっていきそうですね……。
そんなことを考えつつ、紅葉した樹木に見惚れながらキノコを探します。
え? 余所見していても大丈夫ですよ。それぐらい今年はキノコが豊作です。
あっちにもこっちにも生えていて少し歩くだけで籠いっぱいに収穫できます。
ふふっ、まるで森全体がキノコ畑になったみたいです。
そうしてキノコ採取に精を出していると、森の奥から変な音が聞こえてきます。
なんでしょう? このキュポキュポと聞こえる妙な音は……。
正体を探るため、一人で音のする方へ向かってみるとそこには巨大なキノコが。
大きさは人の大人位。傘の色は赤く、所々に白い水玉模様が入っています。
この巨大キノコが音源みたいですけど……なんなんでしょう?
困惑しつつ近寄ってみると、キュポッと音を出す巨大キノコ。
次の瞬間、傘の水玉模様がギョロギョロとした無数の目玉へ変化します!
ヒッ!? お、お化けキノコなのです! なんでこんな森にいるんですか!?
普段はもっと瘴気の濃い森にいるはずなのに!
驚きで動けずにいると、キュポキュポ鳴きながら突進してくるお化けキノコ!
ぶつかるのを覚悟したその時、腰に差した黒竜の小剣から紫電が迸ります。
憐れ直撃を受けたお化けキノコは黒焦げに……す、凄い威力ですね。
でも、お陰で助かりました。主人思いのいい小剣です。
しかし、そう安心したのも束の間、私の視界が急に暗転します。
同時に背中に感じる地面の感触。そして、そのまま途切れる意識……。
……次に気が付いた時、私はなぜか宿のベッドで横になっていました。
あれれ? なにが起こったんでしょう? 色々気になりますが……ダメです。
とても、とても眠たいです……朝になったらノアさん達に詳細を……。
今日の収支
銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
+1枚(依頼報酬)
+1枚(キノコ売却費)
――――――――
残金:金貨5枚、銀貨57枚、銅貨53枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨17枚、銀貨76枚
(_ _;)…パタリ 体が動かないのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます