198日目:料理を教えてもらえますか?

 神聖歴六一〇二年・時雨鶏しぐれどりの月第二八日・天気:雨


 くしゅんッ……明け方から妙に冷え込むと思ったら、今日は雨ですか。

 はぁ……お仕事、行きたくないですね……濡れるし、寒いですし……。

 ……とりあえずお茶でも飲んで温まりつつ本日の予定を考えましょう。


 あ、そういえば観測所の所長さんに渡された手紙をまだ読んでいませんでした。

 ……面倒ですけどやっぱり内容ぐらい確認した方がいいですよね?

 なにか重大なことが書かれていたら嫌ですし……はぁ、気が重いです。


 しかし、読んでみるとただの謝罪文書でした。

 ……あの職員さんが起こした件に関するお詫びが長々と綴られています。

 少しだけ期待していた黒竜の小剣についてはなにも書かれていません……。

 はぁ……色々考えていた私が馬鹿みたいじゃないですか……全く。

 ……もう今日のお仕事はお休みにしましょう。なんかやる気がなくなりました。


 というわけで休日にしたんですが、ニコさんは錬金術師ギルドの研究会へ。

 ルルちゃんはノアさんを誘っていつも通り冒険者ギルドへ行ってしまいました。

 折角お休みにしたのに……皆、真面目ですね……私はなにをしましょうか?

 ……このままだと私だけダラダラと休日を過ごす悪い子になってしまいます。

 う~ん……あ! そうです! 丁度いいので料理教室へ行きましょう!

 運搬任務から帰ってきたら料理を習うって決めていましたし!

 ふふふっ、皆が帰ってきたら私の手料理で驚かせてあげるのです!


 そう思ったんですが……都合よく料理教室が開催されているわけもなく……。

 仕方なく一人宿へ帰り、食堂で落ち込んでいると女将さんに話しかけられます。

 どうしたね? と心配そうにしながらお茶を淹れてくれる女将さん。

 そこで閃きました。この女将さんに料理を教えてもらえばいいのでは? と。

 ……よし、ダメ元で頼んでみましょう! なにもしないで諦めるよりマシです!

 すると女将さん、丁度人手が欲しかったしいいよ、と快く引き受けてくれます!

 やったのです! これで私も今日から料理上手の仲間入りです!


 と、意気込んでいたのですが……なんか想像していたのと違いました。

 ……どうして、どうして私はいきなり実戦配備されているんですか?

 水汲み、皿洗い、野菜の皮むき、料理の配膳に食器の後片づけ……。

 これではただの下働きです……料理はいつ教えてもらえるんでしょう?

 

 そうして働き続けていると、夕方になりノアさん達が宿に帰ってきました。

 食堂の手伝いに駆け回る私を不思議そうに見つめてくるノアさん達……。

 うぅ……本当なら今頃、皆に覚えた料理を振る舞っていたはずなのに……。

 あ、あそこの食器も下げないと……これでお客さんが少ないとか絶対に嘘です。


 結局この日、女将さんが料理を教えてくれることはありませんでした……。

 ……本当に教えてもらえるのか少し不安になってしまいます。

 ……大丈夫ですよね?


 今日の収支

 銀貨:-3枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

     +1枚(ルルちゃん依頼報酬)

 ――――――――

 残金:金貨5枚、銀貨58枚、銅貨53枚

     猫銀銭190枚

 借金残高:金貨17枚、銀貨76枚

 

 (;-_-) お料理上手くなりますかね?

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