196日目:王都と宴会。
神聖歴六一〇二年・
くしゅんッ……さ、寒いです……まさか空の上がこんなに寒いなんて……。
私達は現在、ドラゴン観測所から特別に借りたワイバーンで王都へ移動中です。
と言っても、背中に乗っているわけではありませんよ? ……操れませんし。
なので、人や荷物を運ぶために設計された専用の籠に乗っています。
籠の見た目は車輪のない馬車。それをワイバーンが足で掴んで運びます。
はぁ……それにしても早く王都へ着きませんかね……。
最初は優雅な空の旅を想像していたのに色々夢が砕かれました。
物凄く揺れるし、隙間風は冷たいし……酷い乗り心地です。
……魔術的なにかで改善できたりしないんでしょうか……はぁ、本当酷い。
そうしてお昼過ぎ、ようやく王都が見えてきました。
しかし、このまま進むと騒ぎになりかねないので近くの森に着陸します。
あと元々が緊急連絡用ですからね……あまり公にしない方がいいのです……。
その後、久々に戻った王都アルシス街は以前と変わらぬ喧騒に包まれていました。
たった十四日ほど離れただけなのに、この騒がしさが凄く懐かしいです。
ふふっ、ちゃんと生きて戻ってこられたんだって実感する瞬間ですね……。
……冒険に出てまた同じ場所へ無事に帰ってくる。
言葉にすれば簡単ですが、これほど難しいことはありません……。
冒険者は過酷なお仕事なのだと今回の依頼でこれまで以上に身に染みました。
そんなことを考え歩いていると、冒険者ギルドへ到着します。
ふぅ……扉の前で深呼吸。よし! 気持ちを切り替えたら、いざ中へ!
ただいま、冒険者ギルド! 私達は帰ってきましたよ!
さてと、まずは依頼の完了報告を済ませてしまいましょう。
受付へ行くといつもの眼帯お姉さんが驚いた表情で見つめてきて一言。
……失敗したのかい? って失礼ですねお姉さん!? ちゃんと達成しました!
そう言って渡した報告書を確認するとお姉さんは目を丸めます。
けれど、観測所で頼まれた手紙を渡すと、なにかを納得した様子でした。
そして、なにも訊かずに普段通り報酬の支払い準備をしてくれます。
……あの手紙いよいよ怪しいですね……私の方にはなにが書いてあるんでしょう?
しかし、そんな疑問は受け取った報酬金額でどこかへ吹き飛びました。
こ、こんなに多くていいんですか!? 一つの依頼の報酬では過去最高額です!
馬車も借りてないので経費ゼロですし! 頑張った甲斐がありました!
あ、そ、そうだルイナさんにお礼を! 沢山お世話になりましたから!
でも、元々が以前のお礼だからと、ルイナさんは首を横に振ります。
……それなら皆で今から帰還祝いに行きましょう!
もちろんルイナさんも一緒に!
そう誘うと今度は苦笑しながら頷いてくれるルイナさん。
よ~し、今日は大奮発しますよ!
今日の収支
銀貨:-36枚(宿泊費×5+ソシオ)(寝床☆☆、食事☆☆)
-50枚(酒代など)
金貨:+1枚(ワイバーン討伐報酬×1)
+4枚(依頼報酬)
――――――――
残金:金貨5枚、銀貨64枚、銅貨53枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨17枚、銀貨76枚
\(^▽^)/ 宴会! 大宴会です!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます