188日目:意外な再会と助っ人。
神聖歴六一〇二年・
任務開始から今日で六日目。
……意外と遠いですね、観測所。片道でこの日数……帰りを考えると……。
はぁ、暗くなる考えはやめましょう。復路は復路でなにか楽しみがあるはずです。
ほら、帰りは日数関係ないので寄り道し放題ですし……。
そんなことを思いながら進んでいると、前方から六台の荷馬車が向かってきます。
加えて周囲には冒険者が乗った馬が四頭……かなりの大所帯です。
うぅ……あまり擦れ違いたくありませんね。
だって絶対にソシオの姿を笑いますよ? 物凄く胴長の馬に見えるんですから。
なんて心配をしていると、先頭の馬に乗った冒険者さんが声を掛けてきます。
やぁ、やぁ、お久しぶり。この前はありがとう! って……誰でしょうか?
ふわついた金髪と碧眼が特徴の優男さんですが……装備が弓矢? あぁ!
思い出しました。オーガ討伐時に共闘したパーティ・アルクの人です!
皆さん、割と大怪我だったはずなのにもうお仕事を再開してるとか……。
王都の治療院は物凄く優秀ですね……利用したくはないですけど。
意外な再会を喜びつつ、色々と情報を交換していると驚くことが発覚します。
なんと優男さん達、ドラゴン観測所からの帰りなんだそうです。
受注している依頼は私たちと同じ物資運搬任務。
どうやら出発時期によっては時折、前任部隊と擦れ違うことがあるみたいです。
でも、それなら丁度いいですね。この先の情報を詳しく教えてもらいましょう。
優男さんに尋ねると街道の先、大渓谷へ続く荒野が最も危険な場所だそうです。
上空から身を隠す場所がほぼないので、ワイバーンによく襲われるんだとか。
その証拠にほら、と荷馬車の積み荷を見せてくれる優男さん。
すると、荷台には十数頭ものワイバーンの亡骸が載せられていました……。
……こ、こんな頻度で襲ってこられるとか……あ、悪夢です。
あまりのこと呆然としていると、あ~助っ人に誰か貸そうか? と優男さん。
!? ほ、本当ですか!? それは助かりますけど……でも、いいんですか?
躊躇いつつ確認すると、この前のお礼もあるしねぇ~、と優男さんは笑います。
そうして紹介されたのは、健康そうな小麦色の肌をした細身で長身の女性。
腰まで伸ばした銀色の髪と蒼く澄んだ瞳が特徴的な綺麗なお姉さんです。
名前はルイナさん。パーティ内でも一番の弓の名手なんだとか。
荷台のワイバーンも数頭は彼女が単独で仕留めたものだそうです。
……実力は折り紙付き……願ってもない助けですが……。
暫くノアさん達と相談した結果、協力してもらうことにしました。
流石のノアさんも弓矢が一人では不安だったみたいです。
優男さんとルイナさんにお礼を言うと、気にしないで、と笑顔で返されます。
帰ったらなにか改めてお礼をしないといけませんね……。
さて、休憩終わり! 再出発です!
あ……メンバーが一人増えたからソシオがますます胴長に……。
もう! 皆、笑わないでくださいよ!
今日の収支
(特になし)
――――――――
残金:金貨1枚、銀貨50枚、銅貨53枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨17枚、銀貨76枚
('-'*) ルイナさんよろしくです!
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