184日目:早く進むために……。
神聖歴六一〇二年・
ドラゴン観測所への物資運搬任務二日目。
皆でソシオの背に乗り鉱山へ続く街道を東へ移動しています。
でもソシオ……ケルピーの何人でも背に乗せられる能力はやっぱり凄いですね。
お陰で高い使用料を出して馬車を借りずに済みました。
あと馬車を引かない分、速く移動できるのも利点です。
ただ少しだけ問題があるとすれば、見た目ですか……。
四人も乗せているのでソシオの姿は物凄く胴長な馬に見えます。
なので、誰かと擦れ違うたびに驚きの表情を向けられ、少しだけ恥かしいです。
……なにか新しい移動手段を考えるべきでしょうか?
けど、そうなるとまたお金がかかるんですよね……。
借金もまだ全然返済できていないのに……辛いです。
今回の任務も商業ギルドが間に入っていたら受注できなかったんですよ?
……あれだけの荷物の保証金とか払えるわけがありません。
お金のための冒険ではないですけど、やっぱり冒険にはお金も必要です。
はぁ……理想と現実の差にモヤモヤとしてしまいます。
そんなことを考えていると、手綱を握っていたノアさんがソシオを止めました。
どうしたんでしょう? なにか問題ですか?
訊いてみると、後ろに乗った私にも見える様に地図を広げてくれます。
あぁ……分かれ道ですか……悩みますね。
ドラゴン観測所へ向かうには幾つかのルートがあります。
そしてここが最初の分岐点です。
左の最短経路は険しい山道へと続いています。
右は街道を進むため距離はありますが比較的安全です。
普通は右を選ぶんですよね……本来なら馬車数台で行う任務ですし……。
眼帯お姉さんには一日でも早く運ぶよう頼まれましたけど、どうしましょう?
馬車もないのでソシオの足なら右の道を進んでも十分早く着きますが……。
悩んだ結果、左の道を進むことに決めました!
やっぱり少しでも早い方がいいですよね……。
増えた荷物の分に加えて、速達料金も報酬に加算されていましたし……。
帰ってから、もっと早く行けたはずだよな? とか言われても面倒です。
……というかあの眼帯お姉さんなら絶対怪しむ気がします。
はぁ……元冒険者が受付だと色々やり難いですね……手が抜けません。
あ、いえ、別に抜く気はないですけどね!? やだなぁ~、もう。
そうして夕方になるまで移動し、今晩は山の麓で野宿です。
しかし、ここで衝撃の事実が……る、ルルちゃん!?
な、なんでノアさんを手伝ってるんですか……?
もしかして料理ができるとか……う、ウソですよね!?
オーガ討伐の時は普通にテント設営班だったじゃないですか!
けれど、そんな私の嘆きを知らないルルちゃんはテキパキと調理を進めます。
負けたぁ……負けたのです……後輩に負けちゃったのです……。
うぅ……これでは先輩としての威厳が……。
いよいよ本当に料理教室へ通わないと……。
む、ニコさん!? なにを笑ってるんですか!
ふ、ふんだ。私だってやればですから! ……本当ですよ?
今日の収支
(特になし)
――――――――
残金:金貨1枚、銀貨50枚、銅貨53枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨17枚、銀貨76枚
Σ(T□T) しかも凄く美味しいんですけど!?
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