180日目:ルルちゃんの帰還。

 神聖歴六一〇二年・時雨鶏しぐれどりの月第一〇日・天気:晴


 さて、今日は予定通りならルルちゃんが護衛任務から帰ってくる日です!

 たった数日離れただけなのに、なんだかドキドキしますね。

 護衛任務は無事終わったでしょうか? Eランクにはなれましたかね?

 もし、私の時みたいに落ち込んでいたらどう励ませば……。

 ……心配は尽きませんけど、とりあえずギルドに行ってみましょう。


 朝食を済ませたら、急いで冒険者ギルドへ。

 いつ戻ってくるか分かりませんからね……早めに待っておかないと。

 着いたら扉の前で深呼吸をし、若干緊張しつつギルドの中に入ります。

 しかし、ギルドホールに彼女達の姿はなく、そのことに思わず溜め息が……。

 落胆したような、安心したような……不思議な気持ちです。

 ふぅ……落ち着け……私。大丈夫、ちゃんとルルちゃんは帰ってきます。


 けれど、やっぱり不安で意味もなくクエストボードの前をうろうろ。

 そんな私へ不審そうな目を向けつつ依頼を探す冒険者さん達……。

 その様子を見かねたのか、受付の眼帯お姉さんに呼ばれてしまいます。

 仕方なく受付へ向かうと、邪魔! と怒られてしまいました。

 しゅんと肩を落とすと、酒場にお茶を用意したから飲んできな、とお姉さん。

 ……眼帯お姉さん! はい……飲んで少し冷静になってきます。


 酒場へ行くと、ギルドの入口が見える席に甘い香りのお茶が置いてありました。

 椅子に腰を降ろし、ティーカップに口を付けます。

 すると口いっぱいに広がる柑橘系の爽やかな甘さと少しの苦み。

 ……ちょっとだけ気持ちが楽になりました。

 そういえばノアさん達はどこへ? ギルドには一緒に来たんですけど……。


 辺りを見まわすと……いました。

 ノアさんはギルドホールで本を読んでますが……それ上下が逆ですよ?

 あぁ、ニコさん!? そんなに沢山のお薬をどうするつもりですか!?

 ……皆、それぞれルルちゃんのことが気になっているんですね。

 でも、とりあえずニコさんを止めないと……あの量のお薬はダメです!


 そうやって待っていると、お昼過ぎにようやくルルちゃん達が帰ってきました!

 その姿を見つけると私は駆け寄って彼女を抱き締めてしまいます。

 おかえりなさい! 元気ですか? 怪我はありませんか? 依頼はどうでした?

 矢継ぎ早に質問する私へルルちゃんは苦笑すると、ギルドカードを手渡してくれます。

 そこに刻まれたランクはEランク! ルルちゃんおめでとう!


 あぁ、そうです、引率のルンダさんにもお礼を言わないと。

 ルンダさんに挨拶へ行くと、本当過保護だねぇ~、と笑われてしまいます。

 でも、いいじゃないですか、本当に帰ってきたことが嬉しいんですから!

 そう言うと、ま、可愛がり過ぎてダメにしないことだな、と耳の痛い忠告が飛んできます。 

 わ、分かってますよ……Eランクなら初心者はもう卒業ですからね。

 ……これからはもっと厳しくします。


 けど、今日だけは盛大に祝いましょうルルちゃん!


 今日の収支

 銀貨:-30枚(宿泊費×4+ソシオ)(寝床☆☆、食事☆☆)

 ――――――――

 残金:銀貨36枚、銅貨53枚

    猫銀銭190枚

 借金残高:金貨17枚、銀貨76枚


 O(≧∇≦)O 自分のことみたいに嬉しいのです!

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