177日目:火蜥蜴狩りへ……。

 神聖歴六一〇二年・時雨鶏しぐれどりの月第七日・天気:晴


 ルルちゃんが護衛任務に旅立って二日目……今どの辺ですかね……。

 怪我とかしてないですよね? ご飯はしっかり食べているでしょうか?

 あぁ……考えると色々不安になってきました……。

 い、今からでも追いかけて後ろからこっそり見守ったほうがいいんじゃ……。


 朝から部屋の中心で右往左往しながらそんなことを呟いている私です。

 まさかこんなに心配になるとは思いもしませんでした……。

 うぅ……無事に帰ってきますよね? ね?

 ルルちゃんを信じていますけど……いますけど……。


 うん、部屋の中にいても気が滅入るばかりですね。

 今日は早めに冒険者ギルドへ行ってお仕事に専念しましょう。

 身体を動かせば色々忘れられます。


 というわけでノアさん達を起こし、珍しく早朝の冒険者ギルドへ。

 最近、朝や夜は段々と涼しくなってきましたねぇ。

 そろそろ冬用の装備を整える準備をしておかないと。

 その時期になると素材等も値上がりしますからね。


 ギルドに着いたら早速クエストボードの前へ。

 早朝なのでまだ配達系の任務が沢山残っています。

 けれど、今回はそれが目当てではないのでパスです。

 う~ん、なかなかいい依頼がありませんね……。


 ボードの前に立ったまま悩んでいると背後から声を掛けられます。

 振り向くとそこにいたのは、蒼い鎧に身を包んだ赤髪のお姉さんでした。

 えっと……確かオーガ討伐で一緒だったサフィールのメンバーさんです。

 名前は……なんでしたっけ……うわぁ、大変です! 忘れてしまいました!

 どうしましょう!? どうしましょう!? あ、なんか変な汗が……。

 私の様子をお姉さんは小さく笑い、なにかいい依頼はあった? と尋ねてきます。

 慌てて首を横に振ると、これなんかどうかしら? と取り出される一枚の羊皮紙。

 

 それは火蜥蜴・サラマンダーの生息地が記された地図でした。

 火蜥蜴はその名が示す通り身体が火に包まれた大蜥蜴です。

 彼らの素材を用いた品々は決して燃えることがないと言われています。


 ……でも、どうして地図を見せてくれるんでしょう?

 火蜥蜴は市場価値も高く、時には争奪戦すら起こる魔物なのに……。

 訳が分からず困惑していると、この前のお礼よ、と微笑まれます。

 ……そう言われても素直に納得できません。それほど貴重な情報なんです。

 対応に困っていると、私たちならもう必要数狩ったから安心して、とお姉さん。

 ……はぁ……これ以上断るのも失礼ですね……仕方ない、頂きましょう。


 そうしてお礼を言って地図を受け取ると、お姉さんは笑顔で去っていきました。

 さて、でも火蜥蜴ですか……場所は意外と近場ですけど……。

 とりあえず行ってみましょうか。他に目ぼしい依頼もありませんでしたし。

 

 準備は大体整っているので、このまま現地へ向かっても多分大丈夫。

 あとはルルちゃんが戻ってくるまでに帰れるかですけど……。

 まぁ、なんとかなりますよね。


 そういう訳で、私たちは火蜥蜴狩りへと向かうことにしたのでした。



 今日の収支

 (特になし)

 ――――――――

 残金:銀貨68枚、銅貨53枚

     猫銀銭190枚

 借金残高:金貨17枚、銀貨76枚


 ('-'*) 火蜥蜴……少しだけ楽しみです。

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