176日目:ルルちゃん出発します!
神聖歴六一〇二年・
さて、今日からルルちゃんは護衛任務に旅立ちます。
え? 私たちは勿論一緒には行きませんよ? 昇格試験ですし。
……ちゃんと合格して無事帰還することを今は祈るばかりです。
たった数日間ですが訓練した成果があるといいですね。
朝食後、ルルちゃんを冒険者ギルドへ送っていきます。
ギルドに着くと既に他の冒険者さん達は到着していました。数は四人。
見るからに緊張した表情の三人は多分ルルちゃんと同じ受験者です。
残る黒いライトアーマーに身を包んだ男性の冒険者さんが今回の引率でしょう。
とりあえず彼には挨拶をしておきますかね……。
男性冒険者さんはルダンさんというお名前でした。冒険者ランクはB。
この手の依頼は今回で八回目というベテラン引率者さんです。
日程などを訊くと、五日後には王都へ帰ってくる予定だとか。
意外と長いですね。その間、どうぞルルちゃんをよろしくお願いします。
そう言って頭を下げると、過保護だねぇ~アンタ、と笑われてしまいました。
話し込んでいると、いつの間にかルルちゃん達が出発する時間に……。
不安そうにするルルちゃんを励まし、笑顔で見送ります。
次に会うのは五日後。その時は冒険者として大きく成長しているんでしょうね。
ふふっ、今から再会が楽しみです。ルルちゃん……頑張って!
ルルちゃんと別れた後、私たちは武具店へ向かいました。
理由は勿論、ルルちゃんの昇格祝を準備するためです!
今から注文すれば帰ってきた頃には丁度仕上がる筈ですからね。
きっと喜びますよ、ルルちゃん!
製作をお願いするのは猫又商会に加盟している武具店です。
ただ、この広いアルシス街にも一店舗しかなくて探すのが大変でした。
ここ数回の装備の点検も全てこのお店でやってもらっています。
お店のご主人は三~四十代の筋骨隆々としたおじ様です。
トレードマークのちょび髭のお陰か見た目に反して不思議な愛嬌があります。
店を訪れると笑顔で迎え入れてくれるちょび髭おじ様。
そんな彼に早速、ルルちゃんの装備製作を依頼します。
素材はそうですね……この前手に入れたオーガとマインワームで。
するとおじ様は目を丸め、あのお嬢ちゃんFランクだよな? と確認してきます。
そうですね……でももうすぐEランクに昇格する筈です!
だとしても少し豪華過ぎやしないかい? と若干呆れた様子のおじ様。
いいんです! 彼女の初めてのちゃんとした装備になるんですから!
変に妥協するより、最高のモノを贈りたいんです!
思わず前のめりになって熱弁すると、分かった、分かった、と苦笑されます。
その後は制作費と相談しながら詳細を決めていきました。
一番の頭を悩ませたのは武器。
軽過ぎず重過ぎず、今後もルルちゃんが十分に使える得物……。
結果、無難に小剣をベースに素材で調整することになりました。
完成は四日後、できあがりが楽しみですね。
今日の収支
銀貨:-2枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)
-60枚(装備製作費用)
――――――――
残金:銀貨68枚、銅貨53枚
猫銀銭190枚
借金残高:金貨17枚、銀貨76枚
Σ(・口・) 割と資金がピンチです!?
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