先輩冒険者さんが助けてくれるのできっと大丈夫なのです！ 新米冒険者の日記帳

162日目：お勧めは無難。

　神聖歴六一〇二年・夜長猿（よながざる）の月第二二日・天気：曇

　冒険者ギルドのお姉さんに紹介してもらった宿は実に良い所でした。

　安さの割に食事も美味しくて、寝床も清潔。その他サービスもバッチリ。

　まさしく冒険者が冒険者のために選んだ宿、といった感じです。

　今後も引き続きここを利用しましょう。ふふっ、活動拠点を確保なのです！

　朝食を終えたら冒険者ギルドへ。

　ギルドへ着いたらまずは受付の眼帯お姉さんに昨日のお礼を言いに行きます。

　とても素晴らしい宿だったと伝えると、お姉さんはとても喜んでくれました。

　そうして宿の話で盛り上がりつつ、お勧めの依頼などを訊いてみます。

　話題がお仕事のことになると、笑顔が途端に真剣な表情に変わるお姉さん。

　私たちのギルドカードとパーティカードを見比べつつ、依頼を探してくれます。

　今のパーティの冒険者ランクは平均すると恐らくC前後……。

　このランク帯で王都の冒険者ギルドはどの程度の依頼を任せてくれるのか。

　受付で依頼を選んでもらえば自分達のギルド内評価も分かったりします。

　なので、たまにはこういうお仕事の選び方もした方が良いんですよ。

　クエストボードから好きなお仕事を選ぶだけが冒険者ではないのです。

　あ、でも田舎でやると無茶な依頼を振られるらしいのでそこは注意しましょう。

　暫く待っていると、眼帯お姉さんは二つの依頼を紹介してくれました。

　どちらも採取系のお仕事です。

　一つは岩山での薬草等の採取、もう一つは鉱山での鉱石採掘です。

　……無難過ぎる依頼が来てしまいました……面白くありません。

　つまり私たちのパーティは可もなく不可もなく平凡という評価なのでしょう。

　なんか現実を突き付けられた気がして少しだけ悔しいです。

　でも、仕方がありませんね。これから頑張っていきましょう！

　さて、どちらの依頼を選ぶべきか……。

　迷っていると、お勧めはこっちだね、と鉱石採掘を指差すお姉さん。

　その理由を訊くと素直に納得できました。

　岩山の方にはハーピィやワイバーンが時折現れるんだとか。

　弓や魔法など遠距離から攻撃できる手段がないと少し厳しい相手です。

　素材は儲かるんですけどね……特にワイバーンは人気素材ですし。

　うん、けど今回は無理せず鉱山へ行きましょう。

　武器や防具の調整に鉱石関係の素材は必要ですからね。

　というわけで、鉱石採掘の依頼を受注することに。

　目指す鉱山はアルシス第二鉱山と呼ばれる街から徒歩三時間の場所。

　ソシオの足ならすぐですが出発は明日にします。

　今日は道具の準備や鉱山の内部構造などを調べないといけません。

　初めての場所なので準備はしっかりとやらないと……。

　よし、とりあえず地図や食料、鉱山灯なんかを買いに行きましょう。

　あ、でも猫又商会加盟店ってこの地区にはどこにあるんでしょう？

　……まずはお店探しからですねぇ……はぁ。

　今日の収支

　銅貨：－10枚（チーズ×1ブロック）

　　　　　－50枚（鉱山内部地図）

　銀貨：－1枚（宿泊費×3＋ソシオ）（寝床◎、食事◎）

　　　　　－1枚（各種食料品）

　　　　　－4枚（鉱山灯×2）

　――――――――

　残金：銀貨88枚、銅貨53枚

　　　　　猫銀銭190枚

　借金残高：金貨18枚、銀貨26枚

　('-'*)　久々の鉱山ですねぇ～。