161日目:王都、最初の地区。

 神聖歴六一〇二年・夜長猿よながざるの月第二一日・天気:晴


 今日からいよいよ王都での冒険です!

 まずは冒険者ギルドへ挨拶に行きたいんですがちょっと問題が……。

 なんと……ここには冒険者ギルドが四つもあるんです!


 理由は王都が王城のある中央区を中心に東西南北の地区に分かれているから。

 アレですよ……簡単にいえば四つの街が隣接していると思ってください。

 そのためそれぞれの地区ごとに各ギルドや行政施設が存在しています。


 王都がこんな愉快で複雑で面倒なことになった原因は王家に連なる四公爵家です。

 各公爵家が様々な思惑から王都に領地を欲した結果が今の状態なんだとか……。

 王様の傍にお仕えするためとか建前です。貴族って本当余計なことしかしません。

 ……話が脱線してしまいました。

 これ以上は身の危険を感じるので話題を戻します。


 で、そんな理由で別れているので、各地区でやはり色々特徴が異なります。

 例えば、今いる西区ベリル街は王都で唯一貿易港のある地区です。

 街の造りもそれを最大限生かす構造になっていて各施設はマーガの街に近いです。

 冒険者ギルドも当然ガレオン船だったりします。


 他の三地区も自治範囲内に鉱山や森林を保有しているなど特色があります。

 う~ん、最初の地区はどこにすべきか……迷いますね。

 あ、西区はナシです、ナシ。港関係のお仕事は暫くお断りです。


 皆で話し合った結果、東区アルシス街の冒険者ギルドへ行くことに決定しました。

 東区は近隣に鉱山を多く有し、沢山の工房が立ち並ぶ地区という話です。

 うん、丁度そろそろ装備の点検とかも必要でしたし、いい機会かもしれません。

 

 というわけで昼食を終えたら、早速東区へ向かうことに。

 移動には駅馬車を使います。辻馬車ではなく駅馬車!

 本来なら都市間の移動に利用する馬車ですけど王都だと、辻馬車感覚です。

 それぐらい広いんですよ一地区ごとが……。


 馬車に乗って数時間後、ようやく東区へ到着しました。

 ……地区間の移動も一苦労です。

 東区アルシス街は話に聞いた通り、街中に多くの工房が軒を連ねていました。

 数軒に一軒が工房のような感じで、四方八方で金槌などの金属音が響いています。

 人々の活気で溢れていた西区とはまた違う賑わいがありますね……。


 そんなことを思いながら冒険者ギルドへ。

 石で組まれた無骨ながらも立派な建物です。

 鉄製の扉を押して中へ入ると、すぐに受付へ向かいます。

 受付で対応してくれたのは右目に眼帯をしたお姉さん。

 なんでも元冒険者なんだとか。そのお姉さんから依頼の傾向などの話を聞きます。

 うん、鉱山関係のお仕事が多いみたいですね……予想通りです。


 さて、もう時間も遅いので依頼は明日からにしてあとは宿を探しましょう。

 料理が美味しくて安いところがベストです。

 え? お姉さんが良い宿屋を紹介してくれるんですか? ありがとうございます!

 どんな宿か楽しみですね!


 今日の収支

 銅貨:-8枚(駅馬車×3+ソシオ)

 銀貨:-1枚(宿泊費×3+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

 ――――――――

 残金:銀貨95枚、銅貨13枚

     猫銀銭190枚

 借金残高:金貨18枚、銀貨26枚


 o(^^o)(o^^)oワクワク 明日からの楽しみです。

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