149日目:深夜の見回りとかしてみます。

 神聖歴六一〇二年・夜長猿よながざるの月第九日・天気:晴

 

 ふふふっ、いつの間にか金貨が四枚も貯まったのです!

 これも節約の成果ですかね! え? 違う? そんなぁ!

 はぁ……でも、折角お金が貯まっても借金返済にすぐ消えるんですよね。

 この金貨とも今日でお別れです……悲しいです。

 本当、借金なんてするもんじゃありません。


 さて、本日の予定は私とノアさんはお仕事、ミアさんとニコさんは釣竿開発です。

 釣竿の試作第二号は一応完成したようですが、まだまだ改良するんだとか。

 昨日少し見せてもらいましたけど、今度は群青色のガッチリした釣竿でした。

 魔物の素材を中心にしつつ、金属素材も贅沢に使った逸品だそうです……。

 

 う~ん、でもあれだけの素材をどこから調達してるんでしょう?

 ミアさんが持ち込んだ荷物の中には金属素材はなかった筈なんですけど……。

 購入するにしてもお金を渡してないので無理ですし……謎ですねぇ。


 そんなことを考えていると、いつの間にかギルドへ到着していました。

 ……よし、釣竿のことは一旦忘れてお仕事に集中です!

 真面目に働いて、しっかりお金を稼ぎましょう!


 というわけでクエストボードの前へ。

 なにかいい依頼はありませんかねぇ? 簡単にサクッと稼げるのが理想です。

 いつものように張られた依頼書一枚、一枚に目を通していきます。

 あ、これなんかいいかもしれません!

 依頼内容は深夜の船渠警備。報酬は割と高額。

 夜中に数回、船渠内を見回るだけの簡単なお仕事です。

 相談するとノアさんも了解してくれたので、これに決めましょう!


 夜のお仕事なので一旦宿へ戻り、ニコさん達に依頼内容を伝えておきます。

 すると、夜中の船渠にゃ!? と話した途端に顔を青褪めさせるミアさん。

 えっと……なにかあるんですか?

 そのあまりの様子に理由を尋ねると、ミアさんは無表情で首を横に振ります。

 いや、絶対なにかありますよね!? 凄く不安なんですけど!?


 しかし、ミアさんは結局なにも教えてくれませんでした。

 ただ出発前に、ずっしりとした革袋を一袋渡されます。

 な、なにかあったら中のモノを使うにゃーってミアさん……。

 ……これはもう確実に船渠でなにかありますよね?

 あ、もしかして妙に報酬が良かった理由ってそういうことですか? 最悪です。


 夜、日付の変わる少し前。色々不安ですが最初の見回りの開始時間です。

 うぅ……人気のなくなった船渠って意外と不気味ですね……。

 そ、そうだノアさん! ノアさんが恐いなら手を繋いでもいいんですよ?

 そう言うとクスクスと笑い私の手を握ってくれるノアさん。

 ちょっ!? なんで笑うんですか! 私は恐くなんてありませんよ!?


 そんな感じでランプを片手に二人で船渠内を見て回ります。

 これがあと三回ほど。何事もなく終わるといいですね……。

 どうか、どうか革袋の中身を使うことにはなりませんように……。

 

 もう! だから私は恐がってませんってば!


 今日の収支

 銀貨:-1枚(宿泊費×1+ソシオ)(寝床◎、食事◎)

 金貨:-1枚(借金返済)

 ――――――――

 残金:金貨2枚、銀貨99枚、銅貨21枚

     猫銀銭190枚

 借金残高:金貨18枚、銀貨26枚


 (;д;) ヒック 恐くない……恐くない。

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